2020年1月18日(土)
自衛隊中東派兵中止せよ
衆参委員会で閉会中審査
衆院安全保障委員会と参院外交防衛委員会は17日、それぞれ閉会中審査を開き、昨年末、国会審議を経ずに強行された自衛隊の中東派兵をめぐる最初の論戦を行いました。国会の承認が不要な防衛省設置法を根拠としての派兵に対して、野党側は「脱法的」などと厳しく批判。一方、自民党からは派兵に明確な根拠を与える特措法制定の要求も出されました。日本共産党から赤嶺政賢衆院議員、井上哲士参院議員が質疑に立ちました。
情報提供、「一体化」の危険
衆院委で赤嶺氏
|
赤嶺氏は、自衛隊が中東地域で収集し、米国と共有する情報について、イランの航空機や船舶などの軍事情報は含まれるかと質問。河野太郎防衛相は、「特定の国の情報を排除する考えはない」とのべ、イランに関する軍事情報を提供する可能性を否定しませんでした。
また、河野氏は「米国のニーズに基づくものではなく、一般情報として提供する」と弁明。これに対して、赤嶺氏は「提供した情報をもとにどのような行動をとるかは米軍次第。自衛隊が提供する情報が、アメリカの武力行使につながる判断材料になる。憲法上許されない武力行使との一体化になる危険がある」と強調しました。
トランプ米政権がイラン革命防衛隊幹部のソレイマニ司令官を殺害した問題で、赤嶺氏は、米政府が国連安保理に提出した書簡で「(殺害は)イランによるさらなる攻撃を抑止するため」だと主張していると指摘。「将来の攻撃を抑止するために軍事攻撃を行うのは先制攻撃そのものだ」と追及しました。
外務省の岡野正敬国際法局長は「過去の武力攻撃に対して行われた措置だと書簡に書かれている。われわれはそう読んでいる」とのべ、“自衛権の行使”とする米国の主張を擁護する姿勢を示しました。赤嶺氏は「アメリカを弁護するにも余りある」と批判しました。
核合意離脱が緊迫の元凶
参院委で井上氏
|
井上氏は、2018年5月に米国がイラン核合意から一方的に離脱したことが中東情勢を緊迫化させた出発点だと指摘。核合意は国連安保理決議で米国を含む全会一致で承認されたもので、「米国の一方的離脱は安保理決議違反だ」と強調しました。茂木敏充外相は「特定の国もしくは問題によって現在の状況が生まれたと評価するのは困難」と述べ、米国を免罪しました。
井上氏は、「政府はイランに核合意の順守を求めているが、米国に対して核合意への復帰を求めたことはあるか」とただしましたが、茂木氏はまともに答えませんでした。
井上氏は、米国が核合意離脱とともに「最大限の圧力」としてイラン革命防衛隊のテロ組織指定やイランからの石油を購入する国々の制裁など緊張をエスカレートさせてきたと指摘。「米国に核合意に復帰せよと正面から言わない。国際法違反の事実関係を確かめない。米国にモノを言わず『エスカレーション(深刻化)を回避すべき』と言っても事態はよくならない」と訴え、緊張を高める自衛隊派兵を中止するよう強く求めました。