2020年1月14日(火)
米国防長官 大使館脅威「把握せず」
イラン司令官殺害根拠揺らぐ
【ワシントン=池田晋】エスパー米国防長官は12日の米CBSテレビのインタビューで、トランプ大統領がイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官殺害の理由としてあげている4カ所の米大使館攻撃の計画をめぐり、「私は4カ所の大使館に関する(脅威の)証拠を見ていない」と述べました。
米議会では政権がソレイマニ司令官殺害の根拠を十分説明していないと批判が高まっており、トランプ、エスパー両氏の説明のくい違いが改めて殺害の正当性を揺るがしています。
トランプ政権は、同司令官の殺害を「差し迫った攻撃」を防ぐための自衛措置だと主張。政権はイラン側が計画していたとする「差し迫った攻撃」に関する情報開示を拒んできましたが、トランプ氏は10日、「(イランの攻撃対象はイラク首都)バグダッドをはじめ、四つの米大使館だったと考えている」などと述べていました。
しかし、エスパー氏は「大統領が言ったのは、(放置すればバグダッド以外の)他の大使館にもおそらく襲撃があっただろうということだ」と述べ、確たる証拠がないことを示唆。ポンペオ国務長官も9日、「(イランの)攻撃がいつ、どこで計画されていたのか、詳細は分からない」と殺害の根拠となった脅威情報の曖昧(あいまい)さを認めていました。
国際法上、自衛権の行使が正当化されるには、相手の攻撃に切迫性や違法性があることが要件となり、米側がこうした要件を証明する根拠もなく殺害を実行したなら明らかな国際法違反です。