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2020年1月11日(土)

防衛相、緊迫中東へ派兵命令

主体的判断なく米に忠誠

 イランによるイラクの米軍駐留基地への弾道ミサイル攻撃から、わずか2日あまりの10日、河野太郎防衛相は自衛隊の中東派兵命令を発出しました。まるで何事もなかったかのように、昨年12月27日の閣議決定に沿って進めようとしていますが、それでいいはずがありません。

 当面の危機は回避されたとはいえ、衝突の危機は何ら消えていません。トランプ米大統領はイラン核合意について、他の参加国に離脱を呼びかけ、経済制裁強化も表明しています。イラン最高指導者のハメネイ師も米国への強硬姿勢を変えていません。さらに、イラン以外の中東地域に米国に対する反発が広がり、不測の事態が起きる可能性もあります。しかし、安倍政権は自ら中東情勢を主体的に判断することなく、戦争を回避するとしたトランプ大統領の声明(日本時間9日未明)だけをもって、派兵を決断。米国への忠誠を示すためだけに、「派兵ありき」の姿勢です。

 河野氏は10日の記者会見で、派兵の必要性について、日本は原油の9割を中東に依存していることをあげ、「原油や天然ガスを積んだ船舶の航行の安全は日本経済にとっての生命線だ。その航行安全をしっかりと守っていくために、自衛隊が情報収集活動を行う」と説明しました。

 しかし、現在の中東情勢の緊張を生み出した張本人は、イラン核合意から一方的に離脱し、イラン精鋭部隊の司令官を先制攻撃で殺害したトランプ政権です。イランに自制を促すのはもちろんですが、何より、トランプ大統領に核合意への復帰やイランとの対話や制裁緩和などを要請する外交努力こそ、航行の安全を確保するための最も有効な手段です。(竹下岳)

ジブチ基地 派兵560人に肥大

自衛隊拠点強化進む

 今回の中東派兵部隊はアフリカ東部ジブチを拠点に「情報収集活動」を行います。ジブチには戦後初となる自衛隊の海外基地がおかれ、2009年以来、海賊対処部隊が活動しています。現時点で派兵規模は約360人。このうち、P3C哨戒機2機からなる航空部隊は海賊対処と情報収集活動を兼任し、護衛艦「たかなみ」(約200人)が加わるため、あわせて約560人に増強されます。

 そもそも、自衛隊が活動するソマリア沖アデン湾での海賊事案は激減。昨年の発生件数はゼロになりました。本来なら、ジブチ基地は閉鎖して、自衛隊は直ちに撤退すべきです。しかし、2018年12月に決定された防衛大綱では、ジブチ基地について、「長期的・安定的な活用」を明記。今後、海外派兵拠点として長期に保有する方針を示しています。


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