2020年1月11日(土)
自衛隊中東派兵を命令
河野防衛相 緊張続くなか強行
河野太郎防衛相は10日、防衛省で防衛会議を開き、海上自衛隊の護衛艦1隻とP3C哨戒機2機の中東への派兵命令を出しました。防衛省設置法の「調査・研究」を根拠に、「中東地域での日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動を強化する」としています。
中東派兵は昨年12月27日に閣議決定されましたが、今月3日の米国によるイラン司令官殺害で中東情勢は急激に悪化。トランプ米大統領がイランによる報復攻撃に対し軍事力行使を控え、全面衝突は回避されたとはいえ、依然として緊張状態が続いています。こうしたなかでの派兵命令は、無謀かつ危険きわまりないものです。
P3C哨戒機の部隊は11日に沖縄県の那覇基地を出発し、20日から現地で情報収集を開始。護衛艦「たかなみ」は約200人態勢で2月2日に出港し、2月下旬から活動を開始します。
活動期間は1月20日から12月26日までの約1年間で、必要に応じて延長も可能。派兵される海域は、オマーン湾、アラビア海北部、イエメン沖バベルマンデブ海峡東側のアデン湾の3海域の公海。護衛艦が補給する場合、3海域に面する港に寄港するとしましたが、具体的な場所は公表していません。不測の事態には、自衛隊法に基づく「海上警備行動」を発令します。
中東情勢の緊迫化に関して、河野防衛相は10日の記者会見で「現在、閣議決定を変更しなければならないような情勢にはまったくない」と強弁。中東派兵命令の強行は、トランプ米政権が呼びかけていた対イラン「有志連合」への参加に事実上応えるものです。
また、米艦から燃料などの提供依頼を受けた場合の対応については、「そうした状況になるとは想定していない」と述べるにとどまりました。