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2020年1月10日(金)

米・イラン軍事衝突回避

米大統領 経済制裁は追加

 【ワシントン=池田晋】トランプ米大統領は8日、米軍が駐留するイラク国内の基地2カ所をイランが同日未明(現地時間)に報復攻撃したことを受け、ホワイトハウスで演説しました。トランプ氏は米、イラク側ともに死傷者は出なかったとし、「われわれは軍事力を行使したくない」と今回の攻撃に対する報復攻撃を控える考えを示しました。


 米・イラン間の報復の応酬によって武力衝突へ発展する事態は、当面回避されたもようです。トランプ氏は司令官殺害でイランが報復してきた場合、「52カ所を標的に」報復し返すなどと発言していました。

 イランは国営テレビで米部隊に80人以上の死者が出たとしていますが、イラク政府に対して攻撃を行うことを事前に通告。被害を最小限にとどめる思惑があったとみられます。

 イランのザリフ外相は8日の攻撃後、「釣り合いの取れた自衛措置を完了した。われわれは事態の悪化や戦争を望まない」と緊張緩和に向けたメッセージを発していました。

 米メディアは、イランが武力衝突への発展を避けるため、基地内の米軍居住区を意図的に標的から外した、「面目を保つ」ための攻撃だったとの見方が、米政権内であがっていると報道しています。

 トランプ氏は演説で、「イランは矛を収めつつあるようだ。それは全当事者にとって、世界にとって非常に良いことだ」と述べ、イラン側に衝突を拡大させる兆候はみられないと指摘。過激組織ISはイランにとっても敵だとし、「米国とイランはIS撲滅や、その他の共通課題で協力すべきだ」とも述べました。

写真

(写真)ホワイトハウス前で「イランへの戦争反対」と訴える市民=8日、ワシントン(遠藤誠二撮影)

 ただ、トランプ氏は当面の軍事対応を避ける一方、「イランの侵害行為に対する選択肢を精査する間、米国はただちに追加の懲罰的経済制裁を科す」と述べ、イランとの緊張を高めてきた「最大限の圧力」路線の継続を表明。イラン核合意の締約国である英仏独中ロの5カ国に対しては、「核合意の残骸から決別しなければならない」と破棄を呼び掛け、合意の再交渉を目指す米国に加わるよう要求しました。

 報復の引き金となったイラン司令官殺害については、「世界一のテロリストを抹消した」などと主張しました。

米市民「戦争はやめろ」 ホワイトハウス前

 【ワシントン=遠藤誠二】米首都ワシントンのホワイトハウス前では8日、市民が反戦デモを行い、「イランとの戦争はやめろ」「米軍は中東から出ていけ」「戦争も制裁も反対」と書かれたプラカードなどを持ってトランプ政権に対イラン軍事攻撃の自制を求めました。


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