2020年1月9日(木)
イラン 米軍駐留基地を攻撃
イラク国内 ミサイル着弾
【ワシントン=遠藤誠二、カイロ=秋山豊】米国防総省は7日、米軍が駐留するイラク国内の二つの基地に、イランから10発以上の弾道ミサイルが発射され着弾したと発表しました。イランの革命防衛隊もイラクの米空軍基地に地対地ミサイルを発射したと発表。声明で「殉教者ソレイマニの名において」攻撃したとし、米軍によるソレイマニ司令官殺害への報復と位置づけました。
事態は米・イラン両国の軍事的応酬に発展。緊張がいっそう高まっています。
国防総省はホフマン報道官の声明を発表。「これらミサイルは、イランから発射された」とし、標的は、イラクの首都バグダッド西方のアサドと北部クルド自治区のアルビルにある、米軍部隊が駐留するイラク軍基地だと報告。「米国要員と同盟国を守るために必要な手段をとる」としました。
この時点で、米兵の死者や被害状況は報告されていません。
米メディアは、トランプ大統領が、エスパー国防長官、ポンペオ国務長官と協議したと伝えました。トランプ氏はその後、「全員無事だ」とツイッターに投稿。「いまのところ問題ない」としました。大統領は8日朝(日本時間8日深夜)、イランの攻撃について見解を述べる予定です。
トランプ氏はイラン側の報復攻撃前の5日、「イランが米軍基地や米国人を攻撃すれば、ためらうことなく素晴らしい最新鋭兵器を派遣する」と警告していました。
イラン革命防衛隊はミサイル攻撃を発表した声明で、米国に対し、さらなる犠牲を避けるため、中東地域からの部隊の撤退を勧告。また、「(米国の)テロリスト軍に基地を提供する米国の同盟国に警告する。イランへの攻撃源として奉仕する同盟国は標的となる」とも主張しました。
イランの最高指導者ハメネイ師は8日、首都テヘランでの演説で、今回のミサイル攻撃について「米国に平手打ちを浴びせた」と述べました。国営テレビは同日、今回のミサイル攻撃で「米部隊側の80人が死亡、200人が負傷した」と報じました。
米野党民主党のペロシ下院議長は声明を発表し、「米兵の安全を守り、米政権による挑発をやめさせなければいけない。またイランへも暴力の停止を求める。米国と世界は戦争などをする余裕はない」と訴えました。
米国の反戦運動連合体「戦争なき勝利」が声明を出し、イランと米国に対し「あらゆる軍事行動を直ちにやめ、戦争を選択しないよう」求めました。「イランとの戦争は地域全体をさらに不安定化させ、大量の人的被害をもたらす」と強調しました。