2020年1月5日(日)
米軍、3500人中東増派へ
トランプ氏「戦争防ぐため」
【ワシントン=池田晋】トランプ米大統領は3日、イラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官をイラク領内で自らの指示により殺害したことについて、同司令官が「差し迫った悪意ある攻撃」を米軍・外交官に企てていたための自衛措置だったと主張しました。滞在中の南部フロリダ州の別荘で記者団に語りました。米政権はイランの報復表明を受け、中東に3500人前後の増派部隊を送る見通しで、イランとの緊張関係がさらに高まりそうです。
米メディアによると、米軍無人機MQ9リーパーが現地時間3日未明、バグダッド空港を去るソレイマニ司令官の乗った車列をミサイル攻撃し、殺害。同司令官は軍・情報機関の事実上のトップとして、イラン国内で最高指導者ハメネイ師に次ぐ実力者だったとする見方もあります。
米紙ワシントン・ポストは、イランからの報復を懸念し、国防総省が約3500人の追加部隊を中東に配備すると報道。同ニューヨーク・タイムズは、追加部隊がクウェートへの配備に向け準備を進めているとしています。
トランプ米政権は、昨年12月末にイラク北部の基地に対するロケット弾攻撃で米国人に死傷者が出た報復として、イラク・シリア領内のイスラム教シーア派組織「カタイブ・ヒズボラ」の拠点を空爆。在イラク米大使館への抗議行動が激化したことに対処するため、750人の米軍増派を発表したばかり。
トランプ氏は「昨夜、戦争を防ぐための措置を取った。戦争を始めるためではない」と述べ、イランとの全面戦争を回避したい意向を示唆。一方、「どこであれ米国民が脅かされるなら、どんな必要な措置であれ、私は取る覚悟がある」とも述べ、イランの対抗措置をけん制しました。
オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)は3日の電話記者会見で、「トランプ大統領は、前提条件なくいつでもイランとの対話に応じる用意があり、平和的解決を模索し続けている」と説明。米政権が一方的に離脱した核合意の再交渉を引き続き迫る姿勢を示しました。