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2020年1月4日(土)

20年 外交展望

発言力増す市民の運動

総破綻「安倍外交」に終止符を

 「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を売り物にしてきた安倍外交が、総破綻に直面しています。もはや、内政でも外交でも、安倍政権を終わらせる以外に展望を切り開くことはできません。

米国いいなり

 国際情勢を見れば、米国や中国、ロシアを中心に、覇権主義・排外主義が強まり、「自国中心主義」の傾向が色濃くなっています。こうした中、安倍政権は大国にひれ伏し、追随する屈辱外交を強めています。

 なかでも、米国のトランプ政権言いなり外交は、年をおうごとに国民との矛盾が拡大しています。総額6000億円もの陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」など、米国製武器の爆買い、国会審議も経ないまま、中東派兵の年末駆け込み決定、食料・経済主権を放棄する日米貿易協定の批准強行―。その“実績”は枚挙にいとまがありません。

 今年は、来年3月に期限が切れる米軍「思いやり予算」特別協定の改定交渉が始まります。トランプ大統領は年間2000億円規模で推移してきた思いやり予算の「4~5倍化」を要求。厳しい交渉が予想されます。

 また、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設では、埋め立て区域に広大な軟弱地盤の存在が明らかになりました。政府は今春にも、沖縄県に地盤改良のための設計変更を申請する構えですが、完成は最短でも2030年代。いよいよ追いつめられています。

屈辱的な姿勢

 米国に加え、中国・ロシアへの屈辱的な姿勢も際だっています。

 安倍晋三首相は日ロ領土問題を“決着”させ、歴史に名を刻もうという野望を持っていました。このため、歴代政府の方針だった「4島返還」の方針さえ投げ捨て、事実上の「2島決着」の立場を打ち出して成果を急ぎます。しかし、プーチン政権からは一蹴され、無残な失敗に終わりました。「2島」か「4島」ではなく、旧ソ連が「領土不拡大」という第2次世界大戦後の大原則を踏みにじって千島列島を占領した不公正をただすことなしに、領土問題は解決しません。

 中国はここ数年、南シナ海や東シナ海で覇権主義的な対応を強め、香港やウイグルで深刻な人権侵害を繰り返し、国際的に批判が高まっています。しかし、安倍首相は今春、習近平国家主席を国賓として迎え入れるために、尖閣問題でも、香港・ウイグル情勢でも、一切批判をしていません。こうした屈辱的な姿勢に、自民党内からも疑問の声が高まっています。

日韓関係でも

 侵略戦争と植民地支配を美化し、排外主義を露骨に示す―。これが、安倍外交のもう一つの本性です。その下で、「戦後最悪」といわれる状況に陥ったのが日韓関係です。

 日本企業に元徴用工への賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決に対して、日本政府は「国際法違反」だと一蹴して対話を拒むばかりか、報復措置として韓国を輸出優遇国から除外。日韓の報復の連鎖が起こりました。

 昨年12月、首相と文在寅(ムン・ジェイン)大統領が1年3カ月ぶりに会談し、当面の危機回避の動きが出ています。しかし、元徴用工問題の根底にあるのは、15年8月の「安倍談話」で、朝鮮半島の植民地化を進めた日露戦争を美化するなど、「植民地支配と侵略」への反省を事実上、投げ捨てた首相の歴史認識です。しかも、首相は「嫌韓」をあおって自らの支持を得るという卑劣な行為を行ってきました。

 これを改めない限り、日韓関係の根本的な改善はありません。

明らかな妨害

 大国のエゴイズムの一方、市民の運動が発言力を増し、大国を追いつめています。

 一つは核兵器のない世界への動きです。日本をはじめ、各国の反核平和運動の積み重ねの上に、国連加盟国の圧倒的多数で採択された核兵器禁止条約は、発効に必要な50カ国の批准まで、あと16に迫っています(昨年11月25日現在)。今年4~5月にはNPT(核不拡散条約)再検討会議が開かれます。核固執勢力を包囲する世論づくりが求められます。

 もう一つは地球温暖化問題です。世界各国の若者が声をあげ、人類の未来を左右する問題として、国際的な危機感が共有されました。今年末の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、各国の真価が問われます。

 安倍政権は「核兵器のない世界」の実現でも、地球温暖化防止でも明確な妨害勢力です。もはや、安倍外交に未来はありません。

▼主な外交日程

1月21~24日    世界経済フォーラム年次総会(スイス・ダボス)

春           中国・習近平国家主席が来日

4月          東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議

4月27日~5月22日 NPT(核不拡散条約)再検討会議

6月10~12日    G7・主要国首脳会議(米・マイアミ)

7月24日~8月9日  東京オリンピック

9月2~5日      東方経済フォーラム(ロシア・ウラジオストク)

9月22日~      第75回国連総会(ニューヨーク)

11月3日       米大統領選

11月12日      アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(マレーシア・クアラルンプール)

11月21~22日   G20首脳会議(サウジアラビア・リヤド)

11月         東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議

12月?        国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)(英グラスゴー)


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