2019年12月26日(木)
仏年金改革に反対訴え
オペラ座バレリーナ「白鳥の湖」踊り抗議
【ベルリン=伊藤寿庸】マクロン大統領の打ち出した年金改革案への全国的なスト、デモが続くフランスで24日、パリ・オペラ座のバレリーナが「白鳥の湖」を踊り、年金改革反対を訴えました。
白いチュチュ姿のバレリーナ40人は、パリ中心部にある劇場「ガルニエ宮」前の屋外で管弦楽団の生演奏に合わせ演技を披露。「パリ・オペラ座ストライキ」「文化が危ない」の横断幕が掲げられました。同オペラ座のバレリーナは、激務のため17世紀以来、42歳で引退する独自の年金制度があり、団員らはその維持を訴えました。
オペラ座は5日から、国立の劇団コメディ・フランセーズとともに、ストを実施。多くの公演がキャンセルされました。
バレリーナのアレクサンドル・カルニアートさん(41)はメディアに対し、「8歳からバレエ学校に通い、親元から離れて、毎日5時間の練習を続けてきました。17~18歳で、多くの人が慢性的なケガ、腱(けん)炎、疲労骨折、膝痛に苦しんでいます」と語りました。別のバレリーナ、エロイーズ・ジョクビエルさんは、「42歳までレベルを維持することは難しく、まして(政府の年金改定案の定年年齢)64歳まで働くのは不可能」と述べていました。
マクロン政権の年金改革に反対する鉄道ストは、クリスマスイブの24日も続き、この日は高速長距離列車TGVは6割が運休。パリ地下鉄も一部路線が運休しました。マクロン大統領が労働組合に対し、帰省客の多いクリスマスの時期にストの中断を呼びかけましたが、多くの労組は年末までスト継続を決めています。
仏国鉄のファランドゥ総裁はルモンド紙24日付のインタビューで、損害が4億ユーロ(485億円)に上っていることを明らかにしました。政府と労組の話し合いは1月7日に開始されることになっています。