2019年12月17日(火)
「日本で就労」支援詐欺
ベトナム人留学生 提訴
職業紹介、違法手数料
日本語を学ぶために来日し、卒業後も日本で働きたいと希望するベトナム人留学生7人が、有料職業紹介事業所に「職業紹介」のための実質的な「手数料」を違法に支払わされたとして16日、事業所に対し損害賠償や返金を求めて東京地裁に提訴しました。(岡素晴)
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訴状などによると、手数料を徴取したのは、厚生労働相から有料職業紹介事業の許可を受けている日米国際投資振興機構(東京都中央区)。同社は、卒業によって在留資格が切れる前に就労先を見つけたい留学生たちをターゲットに、「就労できるビザを申請してくれる会社を保証します」などと伝え、原告らと「就職訓練コース」の契約を締結。入会金などとして原告にそれぞれ10万8千~21万6千円を支払わせました。ところが、同社は面接の練習など就職訓練は全く行わず、紹介された職業も原告らが専門学校などで学んだ内容と異なる業種で、就労ビザを取得できる見込みはありませんでした。
職業安定法は有料職業紹介事業所が求職者からいかなる名目でも手数料を徴取することなどを禁じています。提訴後、原告とともに会見した弁護団は、同社が同法に違反していると強調。「卒業と同時に留学ビザを失うことになる留学生にとって、就労ビザを得られなければ、日本に滞在できなくなる。これは死活問題。その心理に付け込み(同社は)違法に利益を得ようとした」と説明しました。
同社は本紙の取材に「訴状が届き次第、真摯(しんし)に対応させていただく」と回答しました。