2019年12月11日(水)
COP25ininマドリード
パリ協定の各国目標・対策
日本も米国も「不十分」
国際団体評価
【マドリード=遠藤誠二】地球温暖化対策の国際的枠組み=パリ協定が定めた気候変動対策の各国の目標(NDC)や取り組みなどを調査・分析している「クライメート・アクション・トラッカー」(CAT)は9日までに、最新の結果を発表しました。多くの国がパリ協定の目標である今世紀末までの気温上昇2度未満、できれば1・5度に抑えることを達成できないことが明らかになっています。
パリ協定にてらして、NDCなど対策が「決定的に不十分」な国としてあげたのは、パリ協定からの離脱を正式に通告した米国とロシア、サウジアラビア、トルコなど。米国についてCATは、「世界で2番目に温室効果ガスを排出する国でありながら、残りの世界の国ぐにを敵に回している」と酷評しています。
対策が「かなり不十分」な諸国は、日本、中国、韓国など東アジア諸国に加え、COP25議長国のチリ、インドネシア、南アフリカなど。日本については、「石炭火力発電所の建設計画が大きな懸念事項として残っている」「海外における石炭火力発電に巨大な資金を投じている」と、世界の流れに逆行して石炭にしがみつく姿勢を批判しています。
「不十分」な諸国は豪州、ブラジル、カナダ、欧州連合(EU)など10カ国です。一方、対策がパリ協定の目標内にとどまっている諸国は、モロッコ、コスタリカ、インド、フィリピン、ケニアなど少数です。
CATは、各国政府の現在のNDCに基づけば、今世紀末の気温上昇は3・2度になると予想。13日まで続くCOP25では、新たな「意欲的な目標」を提示する国や地域がでることや、最終文書でNDCの再設定等で強い文言が盛り込まれることが期待されています。