2019年12月6日(金)
香港デモ アムネスティ香港事務局長・譚萬基氏が都内で講演
警察が暴力の元凶
独立調査委設置を 中国政府に人権守る義務
政府への抗議行動が続く香港で活動する国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの香港事務局長、譚萬基(たん・ばんき)氏が3日、東京都内で講演しました。抗議する市民に警察隊が振るう暴力の具体例を紹介し、警察の暴力を第三者機関が調査する必要性を強調。中国政府には香港の人権を守る義務があると語りました。
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譚氏は抗議運動のスローガンの変遷から、6月以降の状況を説明。▽逃亡犯条例改定案への反対・撤回を求める時期は「香港人、加油(香港人、頑張れ)」▽10月上旬の「覆面禁止規則」施行以降、「香港人、反抗(抵抗する)」▽11月上旬、抗議参加の学生の死を機に「香港人、復仇(報復する)」―と変わったと解説しました。
香港市民は、真の普通選挙の実施を求めた2014年の「雨傘運動」の教訓から、「意見の違いを尊重し、創造的に、お互いを思いやる」運動を展開してきたといいます。
一方、警察当局は数万人の市民が立法会(議会)を包囲した6月12日以降、「過剰・不必要・違法な実力行使をパターン化させていった」とし、警察隊が暴力の元凶となっていると指摘しました。
催涙弾の多用について、11月中旬に香港中文大学が封鎖された際には「わずか3時間に1000発が使用された」と紹介。これは、「抗議への報復」であり、「暴力を収めるのではなく、エスカレートさせるもの」だと述べました。
抗議行動で逮捕された市民は5000人以上となっています。譚氏は起訴が約2割と推定し、「抗議行動に参加させないための、見せしめが、警察の作戦」だと恣意(しい)的な拘束が横行していると語りました。
アムネスティが、警察の過剰な実力行使に対する調査を要求してきたことについて、「公平な司法制度のある香港で独立機関を設置することは可能だ」と表明。「社会の分断を修復し、香港政府が市民の信頼を取り戻すのに役立つ」と強調しました。
譚氏は、国際人権規約がうたう「平和裏に行われる集会、結社、表現の自由」は、英国から返還後も香港に適用されていると指摘。「ミニ憲法」である香港基本法にも、これらの権利は明記され、「香港政府には市民の権利を守る義務がある」と述べ、「香港は中国の一部であり、『一国二制度』のもと中国政府にも、香港の人権を守る義務がある」と訴えました。