2019年12月3日(火)
「若手と未来語ろう」
科学者会議 「軍学共同」を討論
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安倍晋三政権のもとで進む「軍学共同」の現状と今後の展望を語る討論集会が1日、東京都内でありました。宇宙・海洋分野で防衛省が狙う民生技術の軍事転用の動き、軍事研究に肯定的な若手研究者とどういう未来をつくるのかを議論する必要性など、活発に議論しました。日本科学者会議東京支部が開いた東京科学シンポジウムの一環。
浜田盛久・海洋研究開発機構研究員(火山学)は、海洋基本計画(昨年策定)で「安全保障」が強調され、海底火山探査などに使われる無人機技術の軍事転用が狙われていることなどを告発。防衛省と技術協力を進めている同機構について、「平和と福祉の理念に基づき」業務を行うという原点に立ち戻るべきだと訴えました。
天文学分野での軍事研究をめぐる動きについて報告したのは、青木和光・国立天文台准教授。日本天文学会でのアンケート調査を紹介し、軍事研究に否定的な意見が多いベテラン研究者と若手研究者の間に、考えの違いがあることをよく認識して議論する必要があると述べました。
井原聰・東北大学名誉教授(科学技術史)は、今もはびこる“戦争が科学技術を発展させた”という古い論法について「皮相な歴史観」だと断じました。
討論では、軍事研究に肯定的な若手研究者が多いことが話題に。「日本が戦争でやってきたことの知識がなく、北朝鮮のミサイルが彼らの現実」「憲法や人権が教えられていない」といった教育の現状についての意見や、世代間の対立ではなく、任期付き研究職など立場の違いが背景にある可能性が指摘されました。