2019年12月2日(月)
NHK日曜討論 小池書記局長の発言
日本共産党の小池晃書記局長は1日のNHK「日曜討論」で、「桜を見る会」問題や消費税増税後の景気動向と経済対策、「全世代型社会保障改革」、日韓関係、終盤国会への対応などをめぐり、各党の代表と議論しました。
「桜を見る会」私物化
マルチ元会長招待 首相には説明責任
冒頭、安倍晋三首相主催の公的行事「桜を見る会」の私物化疑惑に関し、野党は、首相に直結する問題であり首相が説明責任を果たすべきだとして、予算委員会の集中審議の実施を求めました。
自民党の稲田朋美幹事長代行は「総理は会見や参院本会議でしっかり説明している」などと擁護。日本維新の会の馬場伸幸幹事長は「野党はスキャンダルを次から次に見つけ、はしゃいでいる」などと野党を攻撃しました。
これに対し、小池氏は「『桜を見る会』の問題は単なるスキャンダルではない。ウソと隠ぺい、モラルの崩壊という安倍政治の本質を示すものだ」と強調。首相自身が国民の疑問に答えることは必須だと指摘しました。
稲田氏が「桜を見る会」の問題を「長年の慣行」の中で出てきたとしたことについて小池氏は、参加者が1万人から1万8000人に増え、安倍首相の後援会員を多数招待するなど、問題は安倍政権になってから起きているとして、「税金を使った買収行為だ」と指摘。政府が「招待者の基準や人数の見直しを検討する」というなら「今までの招待基準のどこに問題があったのかを明らかにするのが前提なのに、真相解明・問題解決に必要な招待者名簿を廃棄し、都合の悪いことにはふたをしている」と厳しく批判し、「国政にとって重大な問題であり、徹底解明するのは国会の国民に対する責任だ」と表明しました。
馬場氏が民主党政権でも桜を見る会を利用していたなどとの伝聞を語ったのに対し、小池氏は「首相が1000人以上も招待し、前夜祭で大規模なパーティーをすることを始めたのは安倍政権だ」と指摘。その上で、重大な問題として、首相推薦枠とされる区分番号「60」が記載された招待状を大々的に宣伝に利用して被害を拡大させたマルチ商法企業「ジャパンライフ」の元会長を首相が招待したのではないかとの疑惑を指摘し、首相の説明責任を追及しました。
稲田氏は「1万人以上の招待者の中の一人の属性。現時点で把握しきれないものもある」と弁明しました。
立憲民主党の福山哲郎幹事長は「小池さんが言われたように、招待状をもとに営業し被害が広がっている大変な問題だ。記者の前や参院本会議で一方的に答弁できるところではなく、予算委員会で総理が説明すべきだ」と強調しました。
稲田氏は内閣委員会でも菅義偉官房長官や政府参考人が説明してきたなどとしましたが、福山氏は「なぜ予算委員会に出ないか説明になっていない」と批判しました。
消費税増税と経済対策
5%に戻すことが最大の景気対策だ
続いて、10月からの消費税10%への増税後の景気動向や、政府が近くまとめる経済対策について議論になりました。
国民民主党の平野博文幹事長は消費税増税に関し、「駆け込み需要がないほど国民生活が悪くなっている」と指摘しました。一方、稲田氏は「十二分に手当てをしてきた」と強弁しました。
小池氏は、10月の小売業販売額が前年同月比7・1%減となったことなどを示し、「消費税増税後の消費の落ち込みは本当に深刻だ」と指摘。今年度の補正予算で自民党が10兆円規模を求めていることについて、「台風などの災害対策は必要だが、消費税増税して景気が悪くなったからとばらまいて、その結果借金が増えてまた消費税増税。同じことの繰り返しだ」と批判しました。
小池氏は「景気悪化の中で消費税を増税したこと自体が誤りだったことがはっきりした」と述べ、「消費税を5%に戻すことが最大の景気対策だ」と主張。アベノミクスで潤った富裕層や400兆円超の内部留保を抱えている大企業に応分の負担を求めることで財源を確保する道に踏み出すべきだと訴えました。
自民・稲田氏は、消費税増税は「全世代型社会保障」の実現のため避けて通れなかったと弁明し、「内需は堅調だ」と繰り返しました。公明党の斉藤鉄夫幹事長は「台風、災害など特殊要因もある」などと述べました。
小池氏は「消費税増税の影響に対する見方が甘すぎる」と指摘。10月の小売業販売額の商品別で、自動車小売業が前年同月比17%減と落ち込んでいることを示し、「天気だけで説明できない」と述べ、消費税増税が消費を冷え込ませていることは明らかだとし、「消費税だけに頼る増税路線を見直すときだ」と強調。全国どこでも時給1000円を実現して、中小企業支援とセットで1500円をめざすべきだとし、国民健康保険料の負担軽減や、教育費の無償化などの抜本対策が必要だと主張しました。
「全世代型社会保障」
増税のうえ負担増 全世代におしつけ
政府の全世代型社会保障検討会議で、75歳以上の医療費窓口負担を1割から2割にするなど社会保障の給付減・負担増が議論されていることについて、小池氏は「社会保障のためだと言って消費税を増税したとたん、全世代に社会保障の負担増を押しつけようとしている。安倍政権は消費税を2倍にして、医療も介護も負担を2倍にするのか」と批判しました。
さらに、小池氏は、財政制度等審議会が保育所予算の削減を提言しているとし、「あまりにひどい。保育士不足が加速し、待機児童が悪化する」と指摘。「高齢者も若者も子育て世代も全世代の暮らしを切り捨てる。消費税が社会保障のためだというのは真っ赤なウソだったことを示している」と強調しました。
立民・福山氏は「何のために消費税を上げたのか」と述べ、国民・平野氏は「痛みを強いるものばかり論点としてあげている」と批判しました。
日韓関係
植民地支配の反省 和解の道開く土台
日韓関係の改善に何が必要かの議論で、小池氏は「北朝鮮の核ミサイル開発を止め、平和な北東アジアを築くためにも、必要なのは日韓の緊密な協力だ」としたうえで、「日韓関係悪化のきっかけになったのは徴用工の問題だ。日本政府は日韓請求権協定に違反しているというが、両国間の請求権が解決されたとしても、被害にあった個人の請求権は消滅しないと日本政府も答弁してきた。日本政府はこの立場で被害者の名誉と尊厳を回復する努力をすべきだ」と述べました。
さらに、根本には安倍政権が植民地支配に対する反省を投げ捨てたことにあると述べ、「過去の植民地支配に対する真摯(しんし)な反省を土台にしてこそ和解の道が開かれる」とし、「そういう日韓関係の改善を土台に、北東アジアの平和のための努力をしていくべきだ」と訴えました。
自民・稲田氏は、徴用工問題での韓国大法院判決が問題の発端だと述べ、「国と国の信頼関係を損なったことが一番の問題だ」と韓国に責任を全面転嫁しました。
最終盤国会
予算委逃げる首相 内閣総辞職値する
最後に司会者から最終盤国会にどう臨むかを問われ、小池氏は、辞任した菅原一秀前経済産業相と河井克行前法務相が一切説明しないうえ、両氏に説明責任を求めた安倍首相が予算委員会から逃げ回っていると批判。「首相が予算委員会に出ないというなら辞めていただくしかない。内閣総辞職に値する事態だ」と述べました。
立民・福山氏も、総理枠でのジャパンライフ元会長の「桜を見る会」招待問題などで安倍首相の予算委員会での説明を重ねて求めました。