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2019年11月24日(日)

香港民意 どう動く

情勢緊迫 区議選きょう投票

「平和的に意見表明できるチャンス」

全選挙区で民主派VS親中派

 【香港=釘丸晶】香港の18区議会(地方議会)議員選挙が24日に行われます。民主化を求める市民の抗議とこれを抑えつけようとする当局側の弾圧が強まる緊迫した情勢のもとで迎える投票日。有権者が一人一票を投じ香港で唯一の普通選挙で民意がどう示されるのか注目されます。


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(写真)西貢白沙湾行きのバスを待つ人に訴える何偉航候補(左端)=22日、香港市内(釘丸晶撮影=一部加工)

 22日夜、九龍地区中心部。「交通渋滞を解消しましょう」「地域の施設を充実させましょう」。香港の民主派政党の一つ工党(労働党)の候補・何偉航さん(35)の声が響きます。選挙区である西貢白沙湾行きのバスを待つ乗客に向かって、民主主義の重要性とともに、地域の身近な問題の解決を訴えていました。ビラに見入る人や「支持します」「頑張って」と声を掛け、バスの中から手を振る人の姿も見られました。

 何さんの選挙区は親中派が連続で当選してきた地域。しかし、5カ月以上も抗議運動が続くなか、市民の政治意識が高まり、何さんは「地域の課題の根本には社会全体の問題があると気づく人が増え始めている」と手ごたえを感じています。

 抗議行動の中で若者たちの政治意識が高まったこともあり、区議選には香港の中国返還(1997年)後最多の1090人が立候補。小選挙区制の全選挙区で民主派と親中派が対決しています。

 4年前は親中派が約7割の議席を得て圧勝でしたが、今回は民主派が優勢と伝えられ、選挙戦はかつてない激しさに。候補者への暴力行為、ポスターが破られる事件も相次いでいます。何さんも9月に暴漢に襲われ、頭と手にけがをしました。

 骨折した手に包帯を巻きながらマイクを握る何さん。「今回の選挙は歴史的選挙。無投票がなく、全選挙区で民主派と親中派がたたかいます。民主派が多くの選挙区で勝てば政府にとって大きな圧力となる」と話しました。

 キリスト教徒である何さんと同じ教会に通っていたことが縁で選挙ボランティアに参加している男性(23)は区議選を「デモ以外で平和的に意見表明できるチャンスだ」と語ります。

 投票は24日の午後10時30分(日本時間午後11時30分)に締め切り。25日の朝までには大勢が判明する見込みですが、不測の事態が起これば昼すぎまでずれ込むことも予想されます。


 香港区議会選挙 香港の18区議会の合計479議席のうち、新界地区の農村委員会主席に割り当てられる27議席を除く452議席を小選挙区制の直接選挙で選出。任期4年。区議会は地域の困りごとなどの問題解決について政府に提言する諮問機関的役割。予算審議や条例制定などの権限はありませんが、政府トップの行政長官を選ぶ選挙委員会1200人のうち117人は区議の中から選出されるため一定の影響力があります。


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