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2019年11月23日(土)

韓国、GSOMIA終了を停止

日韓両政府 輸出管理で局長対話も

 韓国大統領府は22日、軍事情報を共有し、第三国への情報漏えいを防止する日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、「いつでも効力を終了できるという条件付きで、23日午前0時に迫っていた終了通告の効力を停止する」と発表しました。これにより、日米韓の軍事的連携の象徴である日韓GSOMIAは当面、継続されることになりました。

 また、日本の経済産業省は同日の記者会見で、輸出管理に関する問題解決のため、準備会合を経て局長対話を行う方針を示しました。韓国大統領府は、こうした協議が正常に継続する間、フッ化水素など、日本側による半導体3品目の輸出管理強化に対する世界貿易機関(WTО)への提訴手続きも停止する方針を明らかにしました。

 日本政府は今年8月、韓国最高裁が元徴用工をめぐり日本企業に賠償を求めた昨年10月の判決への対抗措置として、「安全保障上の懸念」を理由に輸出管理上の優遇対象国から韓国を除外。韓国側は、「両国間の安保協力環境に重大な変化をもたらした」として日韓GSOMIAの終了を8月23日に通告しました。

 これに対して日米両国は協定の継続を繰り返し要求。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は19日、「協定終了の事態を避けられるなら、最後の瞬間まで日本と努力する」と述べていました。


解説

植民地支配の真摯な反省なしに根本的な解決はない

 「失効不可避」とみられていた日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は土壇場で継続されることになりましたが、戦後最悪の状態にある日韓関係の根本的解決にはほど遠いのが実情です。

 2016年11月に締結された日韓GSOMIAは、北朝鮮の弾道ミサイルの発射地点に近い韓国と、落下地点に近い日本が情報を共有し、米国主導の「ミサイル防衛」網を強化するため、米国の要求に沿って締結されました。北朝鮮に加え、中国やロシアも念頭に、北東アジアでの米国の軍事的優位を確立することが狙いです。

 このため、米国は韓国の文在寅政権が協定終了を通告して以来、一貫して継続を要求。14~15日にはミリー統合参謀本部議長、エスパー国防長官が相次いで訪韓しました。韓国側の対応の変化には、米国の強い圧力があったとみられます。

 ただ、問題は何も解決されていません。そもそもの発端は、日本政府が元徴用工をめぐる韓国最高裁の判決に対して真摯(しんし)に向き合わなかったことにあります。茂木敏充外相は22日、記者団に対し、日韓GSOMIA継続を歓迎しつつ、元徴用工をめぐる問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みで、韓国側の判決は「国際法違反」であり、是正を要求するという従来の立場を強調しました。

 日韓関係の深刻な悪化のより根本的な要因としては、安倍晋三首相が、95年の「村山談話」、98年の小渕首相と金大中(キム・デジュン)大統領の「日韓パートナーシップ宣言」で明記された「植民地支配への反省」の立場を投げ捨てる態度をとり続けていることがあります。今後、外交、通商分野で、閉ざされていた日韓当局者間の対話が再開される見通しであるのは歓迎すべき動きですが、過去の植民地支配への真摯な反省の立場を土台にしなければ、解決の道は開かれません。

 (竹下岳)


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