2019年11月19日(火)
香港 覆面禁止は違憲
高等法院判決 政府対応に影響も
取り締まり強化に反発拡大
【北京=釘丸晶】香港の高等法院(高裁)は18日、香港政府が「緊急状況規則条例」(緊急条例)を発動して施行したデモや集会でのマスクなどの着用を禁止する「覆面禁止規則」は香港基本法(憲法)に反するとの判決を出しました。香港警察は同日、適用停止を発表しました。香港メディアが伝えました。
同訴訟は香港立法会(議会)の民主派議員らが訴えたもので、同法院は公共の危険が生じた際に緊急条例を発動することは基本法に違反し、覆面禁止規則は基本的権利の制限に対する合理的必要性を超えるもので違憲だと判断しました。
覆面禁止規則は香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官が10月上旬、英国植民地時代に制定された緊急条例を約半世紀ぶりに発動し、立法会での審議を経ずに施行されました。政府への抗議行動の取り締まり強化を図りましたが、市民からの反発は一層広がりました。
提訴したメンバーの1人で前立法会議員の梁国雄(りょう・こくゆう)氏は判決後、「高等法院の判決は緊急条例が決してずば抜けた地位を持つものではないと証明し、行政長官が自由に緊急条例を発動して法令を制定することはできないと認めた」と強調。「政府が『先に制定し、後で審議する』方式を用い、立法会の権力を素通りしたことは、社会状況をさらに厳しいものとした」と批判しました。
政府は緊急条例を用いて深夜外出禁止令の発令などの検討を開始したと伝えられていますが、今回の判決は今後の政府の対応にも大きな影響を与えるものとみられます。