2019年11月7日(木)
基地元業者 憂う 空自工事 15年に受注
美ら宮古 戦争の島に…
沖縄 陸自ミサイル・弾薬庫建設強行
陸上自衛隊が沖縄県宮古島市で住民の反対を無視してミサイル基地建設や弾薬庫建設に着手しています。「宮古島が“戦場”にされる」―かつて自衛隊基地の建設を受注していた業者が、胸中をうち明けました。(山本眞直)
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この業者は、航空自衛隊宮古島分屯基地のレーダーサイトで工事を受注していました。2015年に空自が発注した、発電機3台を地下30メートルの局舎内に設置する工事です。
攻撃想定か
局舎は、地下だけの建物で、建設費は約7億円です。発電機と燃料タンクのケーブル配線など電気設備をあわせると計11億円もの国税が投入されました。この業者は、電気設備技術の確かさなどから元請けに頼まれ下請けに入ったといいます。
「コンクリートの厚さや鉄筋の太さが、どれも通常の3倍以上というとてつもない強度だった。知識のある技術者や職人は“まるで核シェルターのようだ”と実感していた」
有事で空自駐屯地が攻撃され、外部からの受電が困難になった場合、「地中深くの自家発電機で、レーダーシステムを維持して軍事作戦を継続するためではないか」といいます。
住民が犠牲
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この業者は、保守系の市議(3期)でした。09年に沖縄県内で初の自公推薦で下地敏彦市長が当選。同市長の住民無視で、振興策がらみの行政に反発し、対立しました。
下地市長は、同県名護市辺野古の米軍新基地建設を容認する保守系市長グループ「チーム沖縄」の会長。安倍政権とは密接な関係にあります。
下地市長が3期目の市長選(17年)で自衛隊配備を公約に掲げたことで、「宮古島の行く末に危機感をもった」といいます。「国いいなりで宮古島を自衛隊の島にしていいのか」と―。
安倍政権は「島しょ防衛」の名で、「美(ちゅ)ら島」と観光人気の高い宮古島、石垣島、与那国島を次々と“自衛隊基地の島”にしようとしています。この業者は、安倍政権に屈せず辺野古新基地ノーを内外に発信し続ける「オール沖縄」に「背中を押されている」といい、こう力を込めます。
「地下シェルターで自衛隊基地は生き残っても地域住民は犠牲になる。75年前の本土決戦を前に4人に1人の県民の命を奪われた沖縄戦の歴史を繰り返してはいけない」