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2019年11月4日(月)

ASEAN首脳会議

国際法尊重を強調

南シナ海・地域対応を協議

 【バンコク=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)は2、3の両日、バンコク近郊で首脳会議を開き、地域の不安定要素への対応や南シナ海問題などについて協議しました。加盟国首脳からは、国際法・法規範の尊重と信頼強化、ASEANの結束を強調する発言が相次ぎました。


 議長国タイのプラユット首相は3日の演説で、世界と地域は大国間の貿易摩擦や戦略競争、経済減速、気候変動などの「挑戦課題と不確実性に直面している」と指摘。シンガポールのリー・シェンロン首相も2日、「国際情勢はかつてなく緊急にASEANの共同の深化を求めている」と強調し、重要問題で共通の立場をとるべきとの考えを示しました。

 フィリピンのドゥテルテ大統領は、新しい大国の台頭と競争激化にともない、地域協力でのASEANの中心的役割が圧力を受けていると指摘。ASEANは結束し、陣営づくりや力の均衡の「危険なゲーム」に巻き込まれてはならないと強調しました。

 ドゥテルテ氏は南シナ海問題について、2016年の常設仲裁裁判所判決が平和解決の立場を強化していると指摘。「国連海洋法条約(UNCLOS)を含む国際法に従って平和的に解決されるべきだ」と強調しました。

 ベトナムのグエン・スアン・フック首相は、国際法に反してベトナムの権利水域が侵害される事件が南シナ海で起きたと指摘し、「南シナ海の安全と安定は現在とてもか弱い」「ASEANに重要な教訓を残した」と指摘。「国際法を順守する秩序が維持されることは、平和と安定の前提条件だ」と強調しました。

 今回のASEAN首脳会議議長声明案には、国際問題への対応として新たに、「国際法を支持し、国家間の規範を順守し、地域の平和、安全と安定、対話と協力を促進する誓約を確認」するとの文言が盛り込まれました。

 ASEANは6月に「ASEANインド太平洋構想」を採択。今回の声明案ではASEANの中心性、相互尊重、国際法の尊重など同「構想」の原則の推進を協力関係にある諸国に呼びかけています。

 プラユット氏は演説で、東南アジア友好協力条約(TAC)などASEANが持つ法規範の活用を提起。TACの平和原則を地域外に広げることを追求すべきだと強調しました。


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