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2019年10月24日(木)

デモ激化 試合延期

サッカー伝統の一戦「クラシコ」

スペイン

 スペインのサッカー1部リーグで、26日に開催予定だったレアル・マドリードとFCバルセロナの試合が12月に延期されることになりました。同国の最高裁が14日、独立運動を主導したカタルーニャ自治州の前州閣僚らに有罪判決を出したことを受けて抗議デモが激化していることが原因です。両者の対戦が“単なるサッカーの1試合”よりも深く、象徴的な意味を持つことも背景にあります。

 バルセロナの96勝51分け95敗と実力が非常に拮抗(きっこう)している両者の一戦は「エル・クラシコ」(伝統の一戦)と呼ばれ、現地メディアによればテレビやインターネットを通じ世界170カ国で放映され6億人以上が観戦すると言われています。

 26日の試合は、バルセロナの本拠地「カンプ・ノウ」で行われる予定でした。同地では試合の際、前半の17分14秒を迎えると「独立! 独立を!」の大歓声が約1分間にわたってスタジアムに響きわたります。

 この「独立コール」は、独自の言語と文化を持ち中世では実質的な独立国だったカタルーニャ州が1714年にスペイン継承戦争に敗れ、スペイン軍の占領下におかれた歴史に由来します。

 また、同州はスペイン内戦(1936~39年)後に成立したフランコ総統の独裁時代に言語の使用を禁じられました。スタジアム内ではカタルーニャ語での応援が黙認されていたことから、同地は中央政府への抵抗を示す住民にとって象徴的な意味を持っています。

 18日には同州で52万人規模のデモが行われ、有名な観光地「サグラダ・ファミリア」の公開が中止されるなど各地で影響が相次いでいます。

 今回の試合の対戦相手は、首都マドリードを拠点にする宿命のライバル。満員の会場が独立コールに包まれます。このような背景と、デモの激化を受けて「安全を確保することが難しい」(スペインサッカー連盟)と延期の判断に至りました。

 最高裁の判決に対し、同州のサッカークラブは「(前州閣僚らの)禁錮刑の判決では問題は解決しない。政治的な対話によってのみ行われるべきだ」(FCバルセロナ)、「判決は尊重する。法の枠内で対話をして難局を乗り切ることを願う」(エスパニョール)などと声明を出しています。

 スポーツが政治的対立を乗り越えていけるのか注目されています。(桑野白馬)


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