2019年10月22日(火)
病院内の保育所 企業委託最多に
医労連が実態調査
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日本医労連は21日、2018年度の病院内に設置されている保育所の実態調査結果を発表しました。森田しのぶ委員長らが同日、東京都内で記者会見しました。今年3月時点の状況について、40都道府県139施設が回答しました。
保育所の設置主体は「病院」が83・5%に上る一方で、運営主体は「企業委託」が46・8%で、「病院」の36・7%を今回逆転しました。負担削減が背景にあるとみています。
保育士の雇用形態は、正規60・0%、非正規40・0%。勤続年数1年未満が、非正規は正規の2倍の20・0%。3年未満が40・6%と4割を超えています。劣悪な処遇で働き続けることが困難なことが背景にあるとみられます。
保育士の初任給は、平均約16万5000円でした。厚労省賃金構造基本統計調査よりも約2万8000円低くなっています。国の確保基金が他の補助金と比べて5分の1から6分の1しかないと指摘しています。
保育時間は、10時間以上が73・7%、このうち12時間以上は2割近くで、長時間化しています。休憩は、「児童と一緒」「休憩が取れない」など、約4割が本来の休憩を取れていません。
会見に参加した宇都宮市内の院内保育所で働く木村桂子園長(50)は、株式会社への委託化で労働条件や賃金が低下したと指摘。「子どもを商品化しているようで、保育の質はどうなるのか疑問ばかりだ」と述べました。
森田委員長は、「院内保育所があるからこそ看護師や医師らが働き続けられる。院内保育を拡充してこそ、病院もより良い医療を提供できる」と述べ、処遇改善が急務だと訴えました。調査結果は、厚労省への要請行動で活用する予定です。