2019年10月5日(土)
原発マネー還流 元助役関連会社、稲田氏に献金
関電側 パー券50万円購入
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関西電力の原発マネー還流疑惑で、関電幹部らに多額の現金や品物を提供していた福井県高浜町の元助役の関連会社が、自民党幹事長代行の稲田朋美衆院議員が代表を務める党支部に2011年からの3年間で36万円を献金していたことが分かりました。関電とその関連会社3社も17年に、同氏の資金管理団体から政治資金パーティー券を計50万円分購入しており、福島第1原発の事故後も、原発マネーが与党議員に還流し続けていた形です。(「原発」取材班)
自民党福井県第一選挙区支部の政治資金収支報告書によると、献金していたのは高浜原発の警備を請け負う高浜町の警備会社。年12万円ずつを拠出していました。同町の森山栄治元助役がこの会社の役員を務めており、民間調査会社によると同社の筆頭株主の一人でした。
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またこの自民党支部は、やはり原発内の警備などを請け負う福井市の警備会社とその関連会社3社から、11年~16年の6年間に合わせて216万円の献金も受けていました。この警備会社トップは稲田朋美後援会連合会の前会長です。
関電は17年に稲田氏の資金管理団体「ともみ組」からパーティー券20万円分を購入。ほかに関連会社のきんでん、関電不動産開発、かんでんエンジニアリングが各10万円分を買っています。
稲田氏が防衛相だった17年7月にパーティーを中止したことから、返金した購入者の名が政治資金収支報告書に記載されました。
電力会社は地域独占の公益企業であることから政治献金を自粛するとしていますが、パーティー券を購入することで事実上の献金をしていました。
献金を受ける一方で、稲田氏は福島原発事故後、国会で再々原発について質問。11年には地元・福井県内に老朽化した原発があることを挙げ、「最新のものに置き換えるべき」と新増設を求めていました。
稲田氏の事務所は高浜町の会社の献金について「違法な献金ではないが、事実関係を確認の上、対応を検討中」としています。
国会で再稼働後押し
新増設まで提起
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安倍晋三首相の側近である自民党の稲田朋美幹事長代行に、「原発マネー」の還流疑惑が発覚しました。一方で、稲田氏は国会で原発再稼働を後押しする質問をしています。
東京電力福島第1原発事故の直後、野党議員だった稲田氏はこう詰め寄りました。
「(菅直人)総理は原発を増設しないというような発言をした。大変問題だ。一国の総理が増設しないと軽々しくいうのは非常に問題」(2011年4月13日、衆院経済産業委員会)
地元の福井県に老朽化した原発があることをあげ、「新しい最新の技術のものに置きかえることも考えるべき」と、原発の新増設を提起したことまであります。(11年8月26日、衆院文部科学委)
政権復帰後も原発推進の立場で質問。高浜原発が再稼働したことを紹介し、安倍首相に「国民に対し原発への理解をどのように求めていかれるのか」と求めたのです。(16年2月3日、衆院予算委)
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では企業側はどんな時期に政治資金を提供したのか―。
福島原発事故後、電力業界の“リーダー”は東京電力から関電に移ります。関電の八木誠社長(当時、現会長)は11年4月に電気事業連合会会長に就任しました。
13年9月からほぼ2年間、全国の全原発が停止するなか八木氏は「何としても早い段階の再稼働に全力を尽くす」と、原発再稼働の旗振り役をしてきました。
原発停止で関電は赤字に陥り、下請け企業も仕事が激減。再稼働が決まると一転して、安全対策として巨額の工事発注が続くようになりました。
原発再稼働が電力業界の経営の最大課題になっているなか、「原発マネー」が稲田氏に還流し、国会でも質問した―。献金の背後に、腐敗の構図が浮かび上がっています。