2019年10月3日(木)
香港 警察発砲に怒り
負傷高2の学校前座り込み
当局「合法・合理的な自衛」と正当化
【北京=釘丸晶】香港警察が1日にデモ隊に向けて実弾を発砲し、高校2年の男子生徒(18)が負傷したことは、香港社会に大きな衝撃を与えました。香港警察は、抗議活動を「暴動」として発砲を合理化しましたが、市民らの怒りの声はおさまっていません。
重体の男子生徒が通う学校の校門前では2日朝から、座り込みが行われました。同校の生徒のほか、他校の生徒も含め数百人が結集。「警察は暴力を尽くし、学生を殺そうとしている」との横断幕も広げられました。
男子生徒の同級生は「政府が私たちのような高校生まで攻撃しても、さらに政府への抵抗を強くするだけだ」と話しました。
逃亡犯条例改定案への反対を発端とした抗議行動が続く香港では1日も中国に反発を強める市民が各地で無許可のままデモを強行。男子生徒は、新界地区でデモ参加中に撃たれました。
インターネット上で公開された映像では男子生徒が鉄の棒のような物を振りかざした瞬間に警官が至近距離から発砲。男子生徒は後ろに倒れこみました。警察はフェイスブックで声明を発表し、「自分と同僚の生命の安全のためだった」と発砲の正当性を主張。「『暴徒』に違法行為を止めさせるため、引き続き厳正に法を執行する」と述べました。
深夜には警察トップが会見し、1日に4カ所で計6発の実弾を発砲したと明かし、男子生徒への発砲も「合法で合理的な自衛だ」と正当化しました。また、同日が「香港で最も混乱し、暴力的な日だった」とデモ隊を批判。衝突で警官25人が負傷し、180人を拘束したと述べました。
1日の抗議行動で警察は催涙弾や放水車を使ってデモ隊を強制排除。デモ隊も道路を封鎖し、レンガや火炎瓶を投げるなどして抵抗しました。香港メディアによると同日の衝突で100人以上が負傷し、病院に運ばれました。