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2019年9月30日(月)

台風15号、横浜にも被害

中小企業、存続の危機

事務所浸水、商品は水没

 台風15号は、東京湾に面して中小企業が集積する、横浜市金沢区の産業団地にも甚大な被害をもたらしました。被災から3週間、特に被害が大きかった福浦地区では―。(足立裕紀子)


建物や商品の被害に補助を

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(写真)台風被害による廃棄物が積まれた山和鋼管の工場前=26日、横浜市金沢区

 26日の福浦2丁目。高波で壊れた護岸は大型の土のうで仮復旧がされ、路面はきれいになっています。しかし道路脇には“災害ゴミ”が積まれ、何台もの清掃車が処理にあたっていました。

 横浜市によると、福浦地区では護岸が約1・3キロの範囲で計約600メートル損壊。隣接する幸浦地区を含めた約4平方キロが浸水しました。両地区の全事業所の約75%にあたる483事業所で540件の被害が確認されています(24日午前11時現在)。

 オフィス家具を扱う会社の営業所長の男性は「神奈川の台風被害の報道が少なく、この惨状をお客が知らない。納期遅れに応じてもらえず、困ったこともありました」と話します。

 賃貸の事務所や倉庫が浸水し、商品はすべて水没。車両3台も廃車になりました。商品だけで約2000万円の被害ですが、保険で補償されるのは半分程度。男性は「建物を直す貸主の負担が家賃にはね返ったら、ここにはいられない。保険でカバーできない建物や商品の被害に補助をしてほしい」と話しました。

もっと丈夫な堤防があれば

 「市の港湾局は“想定外の高波”と言うが本当に仕方がなかったのか? もっと丈夫な堤防があれば」と悔しさをにじませたのは、山和鋼管の秋林泰樹総務部長です。

 地質調査などに使われる掘削用ボーリングロッドなどを製造する同社の工場には大量の海水が流入。27年前で17億~18億円かかった機械類が水没しました。

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(写真)機械類がすべて水没した山和鋼管の工場内=26日、横浜市金沢区

 秋林さんは「製造再開は見込めない」と語り、従業員36人の転職先を探して頭を下げる日々です。「転職支援制度のようなものがあればありがたい」と話しました。

 ペットの火葬や納骨・埋葬をする「日本ペットセレモ」の伊東正和社長は「お客さんの励ましの言葉がなければ、折れかけた気持ちがもたない」と語ります。事務所や葬儀場の建物が壊れ、火葬炉3基はすべて水没。契約書もなくなりました。

 1基1千万円はする火葬炉は発注から納品まで2カ月かかります。同業者から借りた車載炉で臨時営業していますが、通常営業には「楽観的に考えて3カ月はかかる。すべて元に戻すには1億円近くいると思う」といいます。

 売り上げが激減しても従業員の給与や既存債務の返済など月300万~400万円は必要です。「10月が勝負」と伊東さん。

 「設備復旧への補助制度はできないのか? 今後さらに低利の融資制度ができたら借り換えはできるのか? 国や県や市が何をどこまで支援してくれるのか、全体像を早く示してくれないと動きようがない。雇用も含め事業を縮小せざるを得ないかもしれない」と、いら立ちを隠しませんでした。


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