2019年9月26日(木)
英議会閉会 無効判決
最高裁 政権に大きな打撃
【ベルリン=伊藤寿庸】英最高裁は24日、欧州連合(EU)からの離脱期限前に10日から議会を長期間閉会にした政府の行為は違法であり、閉会は無効との判決を示しました。ジョンソン政権への大きな打撃となる司法判断で、野党は一斉に首相の辞任を求めました。バーカウ下院議長は、25日に直ちに議会を再開すると発表しました。
最高裁判決は、10月31日のEU離脱期限までの8週間のうち5週間、議会を閉会にすることは「民主主義の根幹に与える影響が極度に大きい」と指摘。政府が議会閉会を女王に助言した行為は、「議会が憲法上の機能を果たすことを妨害する効果があり、違法だ」としました。したがって議会の閉会は「無効であり、効力を有しない」と断じました。11人の判事全員の一致した結論でした。
ニューヨークで国連総会に出席していたジョンソン首相は、司法判断に従うとしつつも、判決への「強い不同意」を表明し、10月31日にEUを離脱することは変わらないと述べました。首相官邸筋は英マスコミに対し、「司法が政治問題に手を伸ばした重大な誤り」などと批判しました。
英労働党のコービン党首は24日、合意なきEU離脱への反対を封じるための首相の違法行為が明確になったとして、首相の辞任を要求。「合意なき離脱」の可能性を排除した段階で直ちに総選挙を実施すべきだと述べました。他の野党も、ジョンソン氏は首相に不適格だとして、辞任を求めました。
政府による英議会閉会の決定に対しては、スコットランド高裁が「違法」、ロンドンのイングランド・ウェールズ高裁が「合法」と判断が分かれたため、最高裁が最終判断を示すことになっていました。