2019年9月7日(土)
黒岩知事「『慰安婦』像展示認めない」
釈明するも表現の自由侵害は認めず
神奈川
神奈川県の黒岩祐治知事は3日の記者会見で、あいちトリエンナーレ2019の企画展「表現の不自由展・その後」をめぐる自らの発言を釈明する一方、「『慰安婦』像展示をやるために県の税金を出すことは、県民が絶対に許してくれない」などと言い放ちました。
黒岩氏は8月27日の記者会見で、日本軍「慰安婦」を象徴する「平和の少女像」について「事実を歪曲(わいきょく)したようなもの」と攻撃。テロ予告や政治的圧力で中止に追い込まれた「表現の不自由展・その後」について「(私なら)開催を認めない」「県民の理解を得られない」などと発言していました。
これに対し、自由法曹団神奈川支部(支部長・森卓爾弁護士)などから、「慰安婦」の強制連行は1993年の「河野談話」で確認された事実であり、表現行為が政治的であるとして制限するのは、「表現の自由に対する侵害だ」との抗議の声が上がっていました。
この日の会見で黒岩氏は「表現の自由とは全然違う話だということが言いたかったが、表現が稚拙であり、そこが誤解された」と釈明。一方で「慰安婦」像問題について「解決したという日韓合意をねじ曲げて、(韓国側が)徹底的に勝手にやっている。そのような政治的メッセージは許せない」と一方的に批判。「『慰安婦』像問題は特別な問題」であり、「県が税金を出すのは県民が許さない」と繰り返しました。
森弁護士は「表現の自由に対する侵害について知事は、発言を取り消すこともなく謝罪もしていません。『慰安婦』問題の政治認識も不適切なままです。私たちの抗議声明は正鵠(せいこく)を得ていたということだ」と指摘しています。