2019年9月7日(土)
待機児童なお1.6万人超
受け皿増えたというが4分の1は企業主導型
厚労省調査
厚生労働省は6日、保育所などに入所できない待機児童が4月1日時点で1万6772人いたと発表しました。前年比で3123人減。同省は、保育の申し込みの増加を上回って受け皿が整備されたといいます。ただ、増えた受け皿の4分の1は、さまざまな問題を起こしている企業主導型保育です。
安倍政権は20年度末までの「待機児童ゼロ」を掲げています。
待機児童の9割は0~2歳児でした。地域別では、首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)と近畿圏(京都、大阪、兵庫)の各都府県、それ以外の地域の政令市や中核市で全体の約6割を占めました。
2018年度の受け皿拡大は11万2274人分。うち2万6651人分が企業主導型保育でした。主に0~2歳児を受け入れる小規模保育も1万806人分増えました。
企業主導型保育は安倍政権が待機児童対策の柱として16年度に導入。認可保育所などに比べ職員や施設基準が緩い一方、認可施設並みの助成が受けられ、19年4月1日時点で定員約8万6千人に急増。20年度末までにさらに2万人分増やす計画です。
しかし、突然の休園や助成金不正など問題が多発。会計検査院の調査で全体の約4割で充足率が5割未満だったことが明らかになるなど、政府も「量の拡大に重点が置かれ、質の確保が不十分」(宮腰光寛少子化対策担当相)と認めざるを得なくなっています。
小規模保育も園庭がないところが多いうえ、3歳からは新しい預け先を探さなければなりません。
安倍政権はまた、自治体が保育の質を確保するため設けている職員配置や面積などの独自基準の見直しを求めています。独自基準引き下げによる受け入れ枠拡大が、待機児童の減少に影響している可能性もあります。