2019年9月5日(木)
香港 条例案正式に撤回
林鄭長官表明 大規模抗議うけ
【北京=釘丸晶】香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は4日、市民向けテレビ発表を行い、6月以来続く大規模な抗議行動のきっかけとなった逃亡犯条例改定案を正式に撤回すると表明しました。立法会(議会)再開後、議事規則にのっとり撤回されます。香港メディアが伝えました。
同改定案をめぐっては100万人単位の抗議行動が組織され、デモ隊と警察との衝突が起こった6月中旬、林鄭氏は改定案審議の無期限の延期を表明。その後も「改定案は死んだ」と述べるなど審議再開の見通しがないことを示してきました。反対派はあくまで「完全撤回」を求めて抗議を続けてきました。先週末にはデモ隊の一部が再び政府本部や立法会、警察本部を包囲し、警官隊と激しく衝突。6月以降の逮捕者は1000人を超えました。
10月1日の建国70周年を祝う国慶節前には抗議行動を鎮静化させたい中国政府と香港政府が譲歩した形ですが、反対派は改定案の完全撤回とともに、普通選挙の実現や、警察の暴力的対応について独立の調査委員会を設置して調査するなどの五大要求を掲げており、改定案の撤回発表で事態が収束するかは不明です。
林鄭氏は発表に先立ち、立法会の親中派議員や中国全国人民代表大会の香港代表らと会見。事前に発表の内容を伝えていたものとみられます。