2019年9月3日(火)
独二大政党が後退
極右政党 第2党に
東部2州議会選
【ベルリン=伊藤寿庸】ドイツ東部のブランデンブルク、ザクセン両州の州議会選挙が1日投票で行われ、極右政党の「ドイツのための選択肢」(AfD)が得票を大幅に増やし第2党に躍進しました。中央政権で連立を組むキリスト教民主同盟(CDU)と社会民主党(SPD)はいずれも得票を減らし、退潮傾向が浮き彫りになりました。
ブランデンブルクではSPD、ザクセンではCDUがそれぞれ第1党の座を死守しました。10月にはテューリンゲン州の選挙も予定されており、一連の旧東独州選挙の結果が国政にも影響を与えそうです。
6年前に創立されたAfDは、5年前の選挙で州議会に初進出。今回はブランデンブルクで23・5%(前回比11・3ポイント増)、ザクセンで27・5%(同17・8ポイント増)と、得票率をほぼ倍増させました。東部国境に近い経済後進地域も多く、産業、農業、福祉、移民政策で、中央や州政府の政策に不満が噴出しました。
特にブランデンブルク州南部は褐炭が主要産業で、エネルギー転換で雇用や地域社会が衰退することへの不安が、化石燃料継続を主張するAfDへの支持につながったとみられます。また、イスラム教徒や移民を排斥するドイツ民族主義、同性婚反対などで、CDUを離れた伝統保守層を取り込みました。
投票率は、前回の40%台からブランデンブルク州で61・3%、ザクセン州で66・6%と大幅に上昇。新たに投票所に足を運んだ人の中では、AfD支持者が一番多いとの調査結果が出ています。
ブランデンブルクでは与党第1党のSPDが26・2%に、ザクセンでは、CDUが1990年の東西統一後最低の32・1%に落ち込みました。
都市部では、ナチスを免罪する一派を抱えるAfDの伸長への危機感が強く、緑の党の前進につながりました。左翼党は、ブランデンブルク(連立与党)で10・7%(前回比7・9ポイント減)、ザクセンで10・4%(同8・5ポイント減)と得票率を減らしました。