2019年8月28日(水)
合意文書 わずか1ページ
G7閉幕 気候変動など盛らず
【ビアリッツ(仏南西部)=伊藤寿庸】主要7カ国(G7)首脳会議は26日、閉幕しました。「米国第一」を掲げるトランプ米大統領の登場以来、とりまとめに難航してきた「首脳宣言」は、マクロン仏大統領が開会前にすでに作成を断念。代わりにわずか1ページの合意文書を最終日に発表しました。
合意文書はG7で「団結と前向きな討議」が行われたと表明。貿易では、「開かれた公平な貿易、世界経済の安定に努める」として、世界貿易機関(WTO)の改革に言及しました。
イランについては、同国の核保有阻止や地域の平和と安定の促進をうたっています。ただマクロン氏が重視した世界の不平等、気候変動などは合意文書に盛り込まれませんでした。
マクロン氏は同日夕、次回G7を主催するトランプ氏とともに記者会見しました。マクロン氏は米国とイランの首脳会談が「数週間以内」に実現する可能性があると述べ、今回のG7がその「条件づくり」に貢献したと述べました。
トランプ氏も「正しい条件」のもとでイランのロウハニ大統領と会う用意があると表明。イランに対し核兵器や弾道ミサイルの開発、テロ支援などをやめるよう迫りました。
今回のG7について、フランス通信(AFP)は、「西側の支配」の消失に直面して、G7を「世界の大国の非公式な討論クラブに変えようとした」とマクロン大統領の意図を解説。「予想よりも有益な会合となった」(独経済紙ハンデルスブラット)と評価する一方で、首脳宣言の断念について、戦後の「諸条約で合意された世界秩序の解体のプロセスが新たな段階に入った」(独紙フランクフルター・アルゲマイネ)との厳しい評価も出ています。