2019年8月8日(木)
再び戦前に戻させぬ
国会内集会 芸術家・市民声上げる
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「表現の自由を私たちの手に取り戻そう」
愛知県内で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で突然の公開中止となった企画展「表現の不自由展・その後」の早期再開を求め、国会内で7日に開かれた緊急集会。会場には芸術家やメディア関係者、市民ら約140人が詰めかけました。
冒頭の呼びかけをしたのは、7月に設立された「表現の自由を市民の手に全国ネットワーク」の賛同人でもある田島泰彦さん(元上智大学教授)です。「公権力が許す範囲で表現の自由を認めようとする流れが安倍政権にはある。その流れの中でテロ予告や脅迫があり、さまざまな規制・統制が進んでいる。この展示を全力で守り抜こう」と力を込めました。
「排外主義が蔓延(まんえん)し、日中戦争に突入した時代に似た状況になっている」との危機感を示した小樽商科大学名誉教授の荻野富士夫さんは「『再び戦前に立ち返ってはならない』との多くの声が、今回の問題を前向きに打開することになる。今が踏ん張りどきだ」と激励しました。
東京大学名誉教授の醍醐聰さんは「河村たかし名古屋市長が自分の目で(展示を)見て中止を要請したことは大問題で、憲法が禁じた検閲にあたるのではないか」と厳しく指摘しました。
作品を出展した作家からは、憲法で保障された表現の自由を後退させてはならないとの声が上がりました。
「作家の尊厳はどこにあるのか。芸術を愚弄(ぐろう)しているのではないか」
造形作家の中垣克久さんは、一人ひとりの作者の同意もなしに一方的に「中止」が告げられたことに怒りをあらわにしました。
プラカードなどを片手に集団で静止する表現行動「マネキンフラッシュモブ」の写真20枚を出展した朝倉優子さんは「憲法21条が私たちを守ってくれている。公的な場所だからこそ表現の自由は守られるべきだと言うのなら、中止の決定は間違っている。撤回して再開させてほしい」と訴えました。
「『平和の少女像』の展示を中止させようと、主催者に脅迫の電話が何件もかかってきた事実は看過できない。歴史修正主義とのたたかいでもある」とのメディア関係者の発言に拍手が起こりました。