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2019年8月4日(日)

配達人、会社と雇用関係

スペインの裁判所 英仏でも同じ判決

 【ベルリン=伊藤寿庸】スペイン・マドリードの裁判所が7月下旬、アプリを通じて料理の出前をする「デリバルー」社の配達人は、会社と雇用関係にあるとの判断を出しました。6月には、バレンシア州の裁判所でも、同様の判決が出ており、インターネットを通じて単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」と呼ばれる労働者に対する、会社の雇用責任を求める流れが強まっています。

 裁判は、出前業者が配達人の社会保険料の支払いを怠っているとして、スペインの社会保険庁が起こしたもの。会社側は、配達人は独立自営の「フリーランサー」であり、会社は利用者の注文をアプリを通じて仲介しているだけで、雇用関係はないと主張しました。

 裁判所は、会社がアプリを通じて配達人に対して、直接指揮を行っており、雇用関係にあると判断。注文に対する応答時間の速さが評価され、注文の拒否が続くとアプリから遮断されるなど、配達人の「自立性は限定的」だと指摘しました。会社が配達人を集めて講習を行ったことも、「伝統的な意味での経営権限の行使」だとしました。

 配達人が会社に直接雇用されれば、賃金保障、社会・労災保険への加入や病休、有給休暇などさまざまな労働者保護の権利を得ることになります。デリバルー社は、控訴するとしています。

 フランス、英国でも宅配業者と配達人が雇用関係にあるとの判決が相次いでいます。

 フランスの破棄院(行政訴訟の最高裁)は昨年11月、食事宅配業者は配達人に対して、指揮・管理を行っているとの判断を出しました。欧州連合(EU)加盟国で、最高裁での判決確定は初。同判決は、当事者の意思や契約でどう規定されているかよりも、「労働者が実際にどう活動するかの事実関係」で判断すべきだとしていました。

 英国では昨年12月、イングランド・ウェールズ高裁で、ウーバー社に対して、配達人との雇用関係を認める判決がでました。判決は、同社の契約が配達人を「独立自営業者」と定めているのは「高度なフィクション」だと断じていました。


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