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2019年7月31日(水)

若者 自衛官応募減が加速

戦争法で任務激化・高齢化も進む

 少子高齢化や慢性的な人手不足、さらに安倍政権が強行した安保法制=戦争法に伴う任務の激化などを受け、若者の自衛隊離れに歯止めがかかりません。防衛省によれば、2018年度の全体の応募者数は前年度比5612人減の8万7562人にとどまり、ついに9万人を割り込んだ一方、採用者数は約1000人増となりました。

 防衛省の2018年度の「自衛官等の採用状況」によれば、11年度には一時5万人を突破し4万~5万人台で推移していた非任期制の「一般曹候補生」の応募者は前年度比1571人減の2万7580人となりました。任期付きの「自衛官候補生」も年ごとに増減はあるものの、減少傾向にあります。

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任官辞退も増加

 今回、特に減少が顕著だったのは幹部自衛官を養成する防衛大学校の応募者数で、前年度比2373人減の1万3926人でした。卒業時の任官辞退も増え続け、18年度卒業数に占める任官辞退者数は、過去10年間で最多の49人となっています。

 この結果、自衛隊の平均年齢は、1990年には31・8歳でしたが、2018年には陸自35・5歳、海自36・5歳、空自36・5歳(18年10月31日時点)となり、高齢化に拍車がかかっています。

自治体動員強化

 防衛省は昨年10月、打開策として「一般曹候補生」、「自衛官候補生」の採用年齢の引き上げを打ち出し、18~26歳の上限を32歳へと引き上げました。「予備自衛官」の年齢上限も36歳から54歳に大幅に引き上げました。

 見逃せないのは、隊員募集への自治体動員の強化です。適齢者名簿の提出を自治体に要請し、応じない自治体は「協力を拒否している」(安倍晋三首相)などと圧力をかけています。しかし、自治体が名簿提出に応じないのは個人情報保護などの観点が理由で、提出の義務もありません。

 安倍首相は先の参院選での応援演説で、憲法9条への自衛隊明記の改憲を聴衆に訴えました。しかし、首相が改憲に前のめりになればなるほど、若者の自衛隊離れが顕著になるのが実態です。

 (桑野白馬)


国外派兵も予期

 明治大学特任教授・纐纈厚さんの話 応募減少の背景には、この間の自衛隊の変質があります。集団的自衛権の行使容認、安保法制の成立などで国外派兵体制の恒常化が予期されており、国内勤務を前提にしていた青年が「自分が考えている自衛隊じゃない」と応募を避ける例が増えているのでしょう。

 人件費の確保や労働環境の整備よりも武器の購入に予算が使われるもとで、一般企業の方に魅力を感じる若者も多いと思います。

 募集年齢の大幅な引き上げには驚きました。自衛隊の任務が拡大する一方で隊員募集がうまくいかない状況がよほど深刻なのでしょう。しかし、政府が自治体に名簿提出を求め、かたっぱしからリクルートするやり方は非常に問題です。今後、隊員確保がいよいよ行き詰まった時に徴兵制に近いところまで足を踏み込みかねません。


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