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2019年7月29日(月)

千葉市 カジノ誘致 検討レベル上げる

事業者から情報募集へ

市民は反対の声が圧倒的

 安倍内閣が当面3カ所とするカジノを中核とする統合型リゾート(IR)の区域認定をめぐって、誘致を目指す自治体間の「競争」が激化しています。幕張新都心(千葉市美浜区)へのカジノ誘致をねらう千葉市の熊谷俊人市長は、カジノ誘致の「検討レベルを1段階上げる」(6月6日)と表明。市が直接、カジノ事業者からの情報募集に乗り出しました。(竹腰将弘)


 千葉市のホームページに23日、「IR(統合型リゾート)に関する情報提供依頼」という項目が掲載されました。「本市においてIRを導入する・しないの判断をするにあたり…民間事業者の皆さまから情報やアイデアを提供いただくために実施する」というふれこみです。

 募集する「情報」は、千葉市におけるIRの事業性、コンセプト、経済的効果などで、カジノ企業向けなのは明白です。

争点隠しで

 千葉市では、2012年に有志市議によるIR議員連盟が発足し、同11月には民間による「幕張新都心MICE・IR推進を考える会」がつくられるなど、幕張新都心を舞台とするカジノ誘致の動きが続いてきました。13年には市議会で、日本共産党などの強い反対を押し切り、自民、民主、公明、維新などの賛成多数で、幕張新都心へのカジノ推進決議があげられています。

 3期目になる熊谷市長は当初からカジノ誘致に積極的な姿勢を示してきました。しかし、「カジノ反対」を明確に掲げる日本共産党推薦候補との一騎打ちになった17年5月の市長選では、カジノ誘致について「中立」(候補者討論会)と発言、争点隠しで選挙にのぞみました。

 その後、政府のカジノ推進本部が昨年11月に行った自治体の意向調査でも、千葉市は「検討中」と回答し、誘致の意思を明確にはしませんでした。

出来レース

 今回は、「市内企業からなる民間団体から、幕張新都心でのIRの事業提案があった」(5月31日、市ホームページで公表)→「具体的な提案を受けたので検討レベルを1段階上げる」(6月6日の市長記者会見)→IRに関する情報提供依頼(23日)という“出来レース”のような手順を踏んだうえ、市が直接海外を含むカジノ事業者との折衝に乗り出そうというわけです。

 熊谷市長が慎重にならざるをえないのは、市民のカジノにたいする反発が強いからです。

 ちばぎん総合研究所が5月10日発表したIRについてのアンケート調査結果では、幕張新都心へのIRの導入について「賛成」「どちらかといえば賛成」があわせて22・1%、「反対」「どちらかといえば反対」は49・1%。幕張新都心がある美浜区の住民に限れば、賛成派21・2%にたいして反対派56・0%と反対の声が圧倒的です。

カジノ誘致をめぐる千葉市の動き

 2012年 1月 有志市議によるIR議員連盟発足

     同11月 幕張新都心MICE・IR推進を 考える会発足

   13年12月 市議会「統合型リゾートの整備を推進する決議」

   17年 5月 市長選。熊谷氏はカジノ誘致について「中立」と発言

   19年 5月31日 市、市内の企業グループから幕張新都心(千葉市美浜区)でのIRの事業提案があったと発表

      同6月6日 熊谷市長「提案受け、検討レベル1段階上げる」

      同7月23日 市、IRに関する情報提供依頼発表


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