2019年7月26日(金)
ジョンソン氏、新首相就任
英国 EU離脱の実行を主張
【ベルリン=伊藤寿庸】英国の新首相に24日、ボリス・ジョンソン保守党党首(55)が就任しました。首相官邸前で演説したジョンソン氏は「議会と国民に約束してきた欧州連合(EU)離脱を10月31日に必ず実現する」と述べ、「合意なき離脱」を辞さない姿勢を鮮明にしました。
ジョンソン氏は演説で、メイ政権を「3年間の優柔不断」と批判し、「民主主義への信頼を回復する」ためにEU離脱を実行すると主張。「EU離脱の機会を最大限に利用して、欧州との新たな、よりよい合意を結ぶ」と述べました。
また国内政策では、2万人の警官増員による治安改善、国民保健サービス(NHS)へのてこ入れ、介護サービスの改善、道路などインフラ改善、賃上げなどを約束。保守党党首選から「コービン(労働党党首)を打ち負かす」をスローガンにしてきた通り、次の総選挙を意識した内容となりました。
直ちに組閣に着手
強硬離脱派が主要閣僚に
【ベルリン=伊藤寿庸】ジョンソン英首相は24日、直ちに組閣に着手し、3年前の国民投票で「離脱」陣営の指導的人物だった政治家を次々に主要閣僚に任命しました。メイ前内閣のハモンド財務相、ハント外相ら15人が辞任、解任。保守党内に、ジョンソン氏の離脱方針への強い反対があることを反映しています。
外相にはラーブ前EU離脱相、強硬離脱派のゴーブ前環境相も内閣の要職に就任。離脱派議員グループを率いるリースモグ議員は、下院院内総務となりました。
スキャンダルからの復活人事も目立ち、内相には、2017年にイスラエル当局者との非公式会合が問題とされて辞任したインド系のパテル前国際開発相。機密情報漏えいの責任を問われて5月に更迭されたウィリアムソン前国防相が教育相となりました。
またパキスタン移民を両親に持つジャビド前内相が、移民系として初の財務相となりました。主要閣僚で唯一、メイ前首相に近かった「残留派」で、「合意なき離脱」となった場合の経済対策を担うことになります。