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2019年7月25日(木)

合意なき離脱 現実味

英次期首相のジョンソン氏

混迷抜け出す保障なし

 【ベルリン=伊藤寿庸】英保守党党首選で勝利し首相就任が確実となったジョンソン前外相は23日、当選後のスピーチで、「ブレグジット(英国の欧州連合〈EU〉離脱)を完了する仕事が始まる」と述べました。離脱期限まであと100日ほど。前政権以来つづく離脱をめぐる混迷を抜け出せる保障はなく、「合意なき離脱」になる可能性は高まっています。

 保守党ウェブサイトによると、ジョンソン氏は(1)英国に有利な新協定を結び、10月31日にEU離脱を実現(2)新協定を結ぶ最善の方法として、「合意なき離脱」への準備を整える―としています。

 「合意なき離脱」をちらつかせ、EUから譲歩を引き出そうとする狙いです。EUは離脱協定の見直しはありえないとの立場を変えておらず、行き詰まれば、「合意なき離脱」に行きつく恐れがあります。

 野党・労働党のコービン党首は、「合意なき離脱」は雇用減、物価高を招き、米国との自由貿易協定で国民保健サービス(NHS)を米企業に売り渡すものだと批判。英最大の公共部門労組であるユニゾンのプレンティス書記長は、「合意なき離脱」が「公共サービスに壊滅的な打撃を与える」と警告しています。

 他方で、EU離脱を支持した人たちの間では、離脱が実現していないことへのいらだちが高まっています。5月の欧州議会選挙では、EU離脱の一点を政策に掲げる「ブレグジット党」が30・7%を獲得して第1党に躍進。EU離脱をめぐって引き裂かれる英国社会の姿を示しました。

 ジョンソン氏は演説で、「国を団結させる」と語りました。しかし、EU離脱国民投票当時、EUへの拠出金を誇大に宣伝したり、全身を覆う服装をしたイスラム女性を「郵便ポスト」に例える暴言を吐いたり、分断を引き起こす言動には事欠かない人物です。

 EU残留支持が多数のスコットランドのスタージョン自治政府首相は、ジョンソン氏首相就任によって「われわれの独立運動がますます重要になる」と述べています。


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