2019年7月22日(月)
伊藤詩織さんトーク会
告発は自然なこと
北京
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【北京=釘丸晶】自らの名前や素顔を公開し、性暴力被害を告発するジャーナリストの伊藤詩織さんによるトークイベントが19日夜、北京市内の書店で開かれました。伊藤さんの著作『ブラックボックス』の中国語版発売(今年4月)に合わせたイベントで上海、浙江省杭州に続いて3カ所目です。
イベントは会場となった書店「単向空間」が発行する雑誌『単読』の副編集長、劉寛(りゅう・かん)さんの質問に伊藤さんが英語で答える形で進行しました。
伊藤さんは、性暴力被害を語る上で、「被害者と呼ばれるよりも、性暴力からのサバイバー(苦しみを生き抜いた人)とした方がより力強い」と指摘。さらに、「現在、私は生き続けている。この状態を表すには被害者やサバイバーよりも(経験や思いの)共有者という表現がふさわしい」と語りました。
告発を決意した動機について伊藤さんは、「日本での仕事はできなくなったが、記者という仕事やメディア活動を心から愛している。(性暴力を受けた)経験を忘れようとしたり、沈黙したりは人それぞれだが、問いを発し続けることが私にとっては自然のことだった」と話しました。
トークテーマは権力を持つ人がどう振る舞うべきかや言語環境による「拒絶」の程度の違いなど多岐にわたり、伊藤さんの発言に共感を示す拍手がたびたび起こりました。
イベントには若い女性を中心に多くの人が参加。用意された椅子は満席で立ち見客が周囲を埋めるなど関心の高さをうかがわせました。