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2019年7月8日(月)

ゲノム編集食品

安全性、表示義務は?

東京で考えるシンポ

 肉付きのいい魚、腐りにくいトマトなど、遺伝子を狙い通りに改変できるゲノム編集技術で生み出した「ゲノム編集生物」と社会について考えるシンポジウムが6日、東京都内で開かれました。主催は日本学術会議。

 早ければ今夏にも市場に流通する可能性があるゲノム編集食品をめぐり、短期間で品種改良できる新技術への研究者の期待が大きい一方、消費者には不安が残っていることが報告されました。安全性審査や表示義務など、社会的な議論を重ねる重要性が浮き彫りになりました。

 筋肉量を調整する遺伝子の機能を壊し肉付きのいいマダイをつくった研究者は、従来30年かかったような品種改良が2年で可能になったと強調。安全性の確認には、どの遺伝子をどう編集したかが重要だと説明しました。

 大阪の生活協同組合の代表は学習会の取り組みを紹介。研究内容を学んでゲノム編集食品への期待をもつ消費者もいるものの、安全性への不安は大きいといいます。生協として取り扱いを議論中で、リスク管理と表示義務化を政府に求めると述べました。

 社会学の専門家はアンケート結果などを報告しました。消費者に不安が高く研究者に期待が大きいことなどをあげ「認識のギャップがある。開発者は積極的な情報提供を」と呼びかけました。

 欧州司法裁判所は、ゲノム編集生物を遺伝子組み換え生物として規制対象とする判断をしています。日本政府は、ゲノム編集生物のうち外来の遺伝子を含むものは遺伝子組み換え生物として規制対象としていますが、一部の遺伝子の機能を変えただけのものは対象外に。現在、対象外としたゲノム編集食品や農作物の届け出や表示の制度を検討しています。


 ゲノム編集技術 あらゆる生き物のゲノム(全遺伝情報)を自在に書き換えることができる遺伝子工学の新技術。2012年に簡便な手法「クリスパー/キャス9」が発表され爆発的に普及しました。この手法は、感染したウイルスのDNA断片を「敵」だと記憶して破壊する、細菌の免疫システムを応用したもの。DNAを任意の場所で切断して特定の遺伝子を働かなくすることや別の遺伝子を挿入することができます。


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