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2019年6月24日(月)

年金、消費税…参院選の争点鮮明に

NHK日曜討論 小池書記局長の発言

 通常国会会期末、参院選公示を目前に行われた23日のNHK番組「日曜討論」。日本共産党の小池晃書記局長は焦点となっている問題で与野党の幹事長らと議論を交わしました。


会期末にどうのぞむか

野党結束で安倍政権退場を迫っていく

 会期末に向けて終盤国会をどう臨むかと問われ小池氏は、「参院での首相問責決議に全力を上げるとともに、その後も野党でよく相談しながら、結束して臨んでいく」と述べ、次のように語りました。

 小池 安倍政権のもとで日本の民主主義も、国民の暮らしも本当に危機にひんしています。憲法違反の安保法制などを数の力で強行する。モリカケ問題では公文書の改ざん、虚偽答弁が繰り返される。賃金統計はねつ造し、そしてついに年金の問題では報告書を「なかったこと」にすると。いままでの自民党政権もここまではやらなかったと思いますよ。その点では、わが国の議会制民主主義の根幹が危うくなっているし、不正やそんたくがはびこって、霞が関の行政機能も崩れつつあるという深刻な事態です。私たちは、くらしに希望と安心を取り戻すために、最終盤のたたかいで安倍政権に退場を迫っていきたい。

 自民党の萩生田光一幹事長代行や公明党の斉藤鉄夫幹事長は「順調に進んだ」「予定通り閉会目指す」などと発言。立憲民主党の福山哲郎幹事長は年金問題を指摘。国民民主党の平野博文幹事長、社民党の吉川元幹事長からも野党の要求を拒否し予算委員会が開かれず、国民に問題を知らせる国会の役割が果たされていないと国会の実態が語られました。

審議会報告書

事実は消せない 徹底的に議論する機会に

 老後資金が公的年金以外に2000万円必要とした金融庁審議会の報告書を麻生太郎財務相・金融相が受け取りを拒否した問題で自民・萩生田氏は、「受け取りしなかったということに対しての批判は、党内でも正直賛否がある」と述べたものの、「大臣は受け取らないというパフォーマンスを示すことで、不安の払しょくを図りたいという意向があったと思う」とかばいました。小池氏は反論しました。

 小池 萩生田さんは受け取らないことで不安を払拭しようとしたと言われましたけれど、受け取らなかったから不安が増大しているんです。(報告書には)事実でないところがあるというけれども、年金世帯の収入と支出の差が月5万5000円というのは、総務省の家計調査です。平均値で議論しちゃいけないというけれど、じゃあどうやって議論するのか。平均値で議論するしかないじゃないですか。いくら報告書をなかったことにしても、年金だけでは暮らしていけないという事実を消し去ることはできないんです。

 しかも、これからが大問題で、総理は、マクロ経済スライドで7兆円の年金給付を削ると認めたわけですね。具体的には、たとえば保険料を40年納めても、いまでも月6万5000円しかないのが国民年金です。国民年金はこの6万5000円が4万5000円ぐらいになってしまう。とても生きていけるような水準じゃないわけです。

 100年安心だといいながら、いまでも足りない年金を減らし続けるということを今回の報告書で、そして総理は7兆円という数字まで示して認めたわけですから、議論を避けるのではなくて、この年金制度をどうするのか徹底的に議論する、そういう機会にすべきだと思います。

 萩生田氏は、「はからずも金融庁発で年金議論が喚起されたこと、良い機会と受け止めたい」と述べました。

どうする年金制度

マクロ経済スライドやめ、「減らない年金」に

 今後年金制度をどうしていくか問われ、自公両党は「マクロスライド方式である程度、継続性を担保できる状況ができた」(自民・萩生田氏)、「制度的な安定性はしっかりしている」(公明・斉藤氏)と発言。小池氏は「減らない年金、頼れる年金にすることが必要だ」として次のように語りました。

 小池 7兆円も年金を削減するマクロ経済スライドをやめて、減らない年金にするというのが、安心できる年金の第一歩です。たとえば、いまの年金保険料は、保険料の上限が年収約1000万円です。だから2000万円でも1億円でも保険料は同じになる。こういう不公平をなくしていけば、1兆円規模で財源がでてきます。これは社会保障審議会でも議論されてきたことですから、年金削減でなく、こういったことを検討すべきです。

 さきほどから積立金の問題が出ていますが、いま約200兆円、給付の4年分もあります。株式投資でリスクにさらすことをやめて、給付に充てていくべきです。(政府の計画のように)2050年まで増やすのではなくて、計画的に取り崩すことで、いまから給付に充てていくべきです。

 根本問題は、年金の支え手である現役労働者の賃上げと正社員化です。最低賃金を大幅に引き上げていくことなどが決定打になります。

 加えて、低すぎる年金は緊急に底上げしなければなりません。私たちは消費税とは別の財源で、いま6万5000円以下の年金については、一律年間6万円を上乗せします。そして次の段階として最低保障年金を実現することが、年金制度の抜本改革にはどうしても必要です。

 公明・斉藤氏が「制度設計のなかで、65歳時点で現役時代の半分の年収を確保する設計になっており実行されている」と述べたのに対して、社民・吉川氏は、所得代替率(年金額の現役世代の手取り収入額に対する割合)はモデル世帯だと指摘。さらに小池氏も、そのモデル世帯は「夫が40年間正社員、妻は40年間専業主婦。ほとんどあり得ないパターン」だと指摘し、次のように提起しました。

 小池 これ(モデル世帯)が一番年金計算上は有利なんです。こういう人たちが年金をもらい始めるその瞬間は(現役時代の平均収入の)5割。でもそういう人たちでも年金をもらっていくと、だんだん削減されて5割を割っていく。単身者の場合は最初から3割程度。これが実態なんですね。だから、所得代替率5割だから安定ですと、こういう宣伝はもうやめたほうがいい。いまの家庭の実態、労働者の実態を見れば、そんなことはもう成り立たない。

 しかも、国民年金では、40年納めて6万5000円ですから、所得代替率は5割になんて到底届きません。その基礎年金をさらに3割削ろうとしているのが、いまのマクロ経済スライドなんです。これでは国民の暮らしも、日本の経済も破壊することになります。「制度の安定性を維持した」というけれど、年金制度は滅びないかもしれないけど、国民の暮らしも日本の経済も滅びてしまう。マクロ経済スライドは廃止すべきです。

消費税

景気後退局面で増税は愚の骨頂 家計あたためる経済政策を

 消費税10%増税について自民・萩生田氏は「リーマン・ショック級の事態が起きない限り10月に国民に10%の負担をお願いしたい」と増税を明言しました。これに対し小池氏は次のように反論しました。

 小池 いや、萩生田さんは4月に(インターネット番組で)、「景気が落ちている」「崖に向かってみんなを連れて行くわけにいかない」というふうにおっしゃいましたよね。それ以後、客観的な経済指標である景気動向指数は、6年ぶりに2カ月連続で悪化しているわけですよね。このままでは、崖を転げ落ちることになるじゃないですか。

 私は、こういう景気後退局面で消費税増税は愚の骨頂、言語道断だと思いますよ。中止すべきですよ、いまからでも。萩生田さんはそのとき(ネット番組で)「7月の日銀短観をみましょう」といったんですから。(その日銀短観は)7月1日に発表するんですから。いまからでも中止できるっていうことだと思うんですね。

 いま必要なのは、家計を痛めつける政策じゃなくて、家計をあたためる経済政策です。最低賃金を全国どこでも直ちに時給1000円、そしてすみやかに1500円を目指すことで、8時間働ければ、ふつうにくらせる社会にしようじゃないか。それから低すぎる年金は底上げし、高すぎる国民健康保険は引き下げる。

 こういう政策を実現するための財源としては、消費税に頼るんじゃなくて、アベノミクスでさんざんもうけた大企業や富裕層に応分の負担を求める改革で財源をつくっていく。トランプ大統領に言われて、アメリカ製の武器を爆買いするという、そういったことはやめるべきです。

 小池氏の指摘に萩生田氏は「崖に連れていくわけにはいかないという気持ちはいまでも変わらない」としつつ、「私が申し上げたのは、消費税の延期ではなくて、違う展開もあるということ。たとえば10%上げた以降もさらなる経済対策も打っていくようなことも含めた対応だ」と弁明。10%増税に対し他の野党は「凍結していかないといけない」(立民・福山氏)、「消費が落ちている。慎重でなければならない」(国民・平野氏)、「ただちに中止すべきだ」(社民・吉川氏)とそろって反対しました。

イージス・アショア

「米国守る」の配備は撤回し、ミサイル撃たせない外交努力を

 陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の配備先で、防衛省が「適地」とした陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)、むつみ演習場(山口県萩市)をめぐって、同省が地元自治体・住民に示した説明資料で、レーダーの設置位置と山岳の角度(仰角)のデータの誤りなどが相次いで発覚し大問題になっています。

 自民・萩生田氏は防衛省の対応に「言い訳のしようがない」と反省を見せつつも、「将来の安全保障を考えると現行のイージス艦だけでは守り切れない物理的な面もある」と国内2カ所の配備を正当化。公明・斉藤氏も「日本の専守防衛、抑止力で平和を守ることが重要であるかを住民に理解してもうことに尽きる」と述べ、イージス・アショア配備があたかも「日本防衛」のように主張。小池氏は次のように述べました。

 小池 山の標高を間違えるぐらいだったら、飛んでくるミサイルはとても撃ち落とせないですよね。これは、本当にでたらめですよ。

 なんでこんなずさんなことをやったかというと、結局最初から「秋田の新屋、山口のむつみありき」だったということじゃないですか。なぜ秋田か、なぜ山口か。北朝鮮の北部からハワイに向かって飛ぶミサイルはおおむね秋田県の上空を飛ぶ。グアムに向かって飛ぶミサイルは、山口県の上を飛ぶ。防衛省は「違う。日本を守るためだ」というけれども、陸上イージスの射程距離は2500キロですからね。どこに置いたって日本を守れるわけで、秋田と山口に置く理由はないわけですよ。

 安倍政権とも関係の深いCSIS(米戦略国際問題研究所)というシンクタンクの論文ですけれども、そのタイトルは、「太平洋の盾 巨大なイージス駆逐艦としての日本」。中を見ると、“ハワイやグアム、アメリカの東海岸などの死活的地域や基地を防護することができる”と書いてある。

 アメリカの基地を守るために、住民の声にも耳を貸さずに、ミサイルを撃ち落とせるかどうかもわからないのに6000億円以上も使う。私はね、ミサイルを撃たせない外交努力こそ必要であって、こんなものは計画の撤回しかありえないと思います。

 他の野党からも「ゼロから出直すべきだ」(立民・福山氏)、「国民軽視、国民無視の配備計画。ゼロに戻すべきだ」(国民・平野氏)、「配備は撤回すべきだ」(社民・吉川氏)の意見が相次ぎました。

参院選にどうのぞむ

共闘勝利と党躍進で新しい政治の道を開く

 最後に、参院選にどう臨むか、各党が表明。小池氏は次のように述べました。

 小池 今日は沖縄「慰霊の日」ですよね。沖縄の悲惨な地上戦の歴史を踏まえれば、やはり二度とこれ以上基地をつくってほしくないという県民の思いに本当に応えなければいけないと思います。辺野古新基地建設は中止する。普天間の無条件撤去をアメリカに対して求めるべきだと思います。

 安倍首相は、今度の参院選を“憲法を議論する政党か、議論しない政党かを選ぶ選挙だ”とおっしゃいました。私は違うと思います。「憲法を変える政党か、それとも憲法を守る政党か」「憲法を変えて戦争する国に向かう政党か、戦争をしない国を守る政党か」を選ぶ選挙です。そのことを訴えていきたい。

 消費税増税を中止して、貧しい年金を立て直して、くらしの希望と安心を実現するための、日本共産党のプランを大いに語り、ここに日本の希望があると示す選挙にしていきたいと思っておりますし、全国32ある参院選1人区では、この間、野党の協議を積み重ねて、すべてで(候補者の)一本化を実現しました。私たちは、共産党のたてた候補で一本化したところも、無所属で一本化したところも、他党で一本化したところも、すべてで勝利をしていくために全力をあげます。そして、比例代表や複数区で共産党の議席を伸ばしていくことで、新しい政治の道を切り開く選挙にしていきたいと思っています。


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