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2019年6月23日(日)

主張

6・23「慰霊の日」

沖縄のこころで新基地阻もう

 沖縄はきょう23日、県が条例で定める「慰霊の日」を迎えます。74年前のこの日は、二十数万人の尊い命を奪った沖縄戦が事実上、終結した日とされます。最後の激戦地となった本島南端の摩文仁(まぶに)の丘にある平和祈念公園(糸満市)では、「沖縄全戦没者追悼式」が開かれます。昨年の追悼式では、当時の翁長雄志知事が「平和宣言」を読み上げ、「沖縄のこころ」を世界に伝え、「平和で誇りある豊かな沖縄」を築く決意を表明しました。そうした取り組みを今後も一層強めていくことが大切です。

悲惨な戦争体験が「原点」

 「沖縄のこころ」とは何か。

 追悼式が開かれる公園の一角には、平和祈念資料館が建っています。その「設立理念」は「沖縄戦の歴史的教訓を正しく次代に伝え、全世界の人びとに私たちのこころを訴え、もって恒久平和の樹立に寄与する」とうたっています。

 同館の「設立理念」を記した文書は「沖縄戦の何よりの特徴は、軍人よりも一般住民の戦死者がはるかに上まわっていることにあり、その数は10数万におよびました。ある者は砲弾で吹き飛ばされ、ある者は追い詰められて自ら命を絶たされ、ある者は飢えとマラリアで倒れ、また、敗走する自国軍隊の犠牲にされる者もありました」と指摘し、「この戦争の体験こそ、とりもなおさず戦後沖縄の人々が、米国の軍事支配の重圧に抗しつつ、つちかってきた沖縄のこころの原点であります」と述べています。

 「沖縄のこころ」とは「人間の尊厳を何よりも重く見て、戦争につながる一切の行為を否定し、平和を求め、人間性の発露である文化をこよなく愛する心」(同文書)です。

 昨年の翁長知事による「平和宣言」は、県民は戦後、「沖縄のこころ」をよりどころに復興と発展の道を歩んできたものの、日本の国土面積の約0・6%にすぎない沖縄に米軍専用施設面積の約70%が存在し、その広大な基地から派生する事件・事故、騒音をはじめとする環境問題などに苦しみ続けていると告発しました。民意を顧みず工事が進められている辺野古の米軍新基地建設は沖縄の基地負担軽減やアジアの緊張緩和の流れに逆行していると述べ、「『辺野古に新基地を造らせない』という私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺らぐことはありません」と表明していました。

 昨年8月、翁長氏は急逝しました。しかし、その遺志は、県知事選での玉城デニー現知事の歴史的圧勝(昨年9月)、辺野古埋め立て「反対」が7割を超えた県民投票(今年2月)、衆院沖縄3区補選での屋良朝博氏の勝利(4月)に、しっかり受け継がれています。

「戦世の哀れ」知らぬ政府

 辺野古新基地に反対する県民のたたかいの中で広く知られる琉歌があります。

 「戦世の哀(いくさゆぬあわり) 知らん者達が(しらんむんぬちゃが) 辺野古埋み立てて(ひぬくうみたてぃてぃ) 悪事工り(あくじたくり)」(沖縄戦で学徒隊の「鉄血勤皇隊」に動員された儀間昭男さん作)

 安倍晋三政権が強行する辺野古新基地建設は、文字通り「沖縄のこころ」を踏みにじる「悪事」です。このたくらみを阻止するためには、「沖縄のこころ」をさらに大きく広げるたたかいが必要です。


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