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2019年6月16日(日)

主張

「骨太方針」原案

消費税増税の明記許されない

 安倍晋三首相が議長を務める経済財政諮問会議が、経済財政運営の基本方針になる「骨太の方針2019」の原案をまとめました。近く閣議決定します。

 見過ごせないのは、今年10月からの「消費税率の8%から10%への引上げを予定している」と明記し、増税を大前提に経済財政を運営することを明確にしていることです。しかし、政府のさまざまな経済指標でさえ、景気の「悪化」を認めざるを得なくなっています。その中で消費税増税を強行することは、暮らしと経済を破たんさせるものです。増税に固執する方針は、絶対に許されません。

破綻した政策を自画自賛

 主要閣僚や財界代表などで構成する経済財政諮問会議は、小泉純一郎政権以来、旧民主党の政権時代を除いて、経済財政運営の“司令塔”になってきました。自民党政権による、財界中心の経済運営の象徴です。

 今年の「骨太」原案は、12年の第2次安倍政権の発足以来、「経済再生を最優先の政策課題に据え、アベノミクスを強力に推進し広く展開」して、「デフレではない状況を作り出し、長期にわたる回復を持続」させたと自賛しています。

 しかし、実際には、4月の内閣府の景気動向指数は、2カ月連続で景気の「悪化」を認め、実質消費支出も実質賃金も1年前に比べマイナスです。安倍政権が14年4月、消費税の税率を8%に引き上げて以来の消費の低迷は続いており、今年1~3月期の国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費も、昨年10~12月期に比べ0・1%減少しました。“頼みの綱”だった輸出も、中国経済の不振や米中の貿易摩擦などによって、2・4%もの大幅減少です。

 この時期に消費税を増税すれば、消費をさらに冷やし、景気を後退させるのは目に見えています。「骨太」原案では、米中貿易摩擦など経済の下方リスクに「目配り」するといい、増税による駆け込み需要・反動減対策など、「十二分な規模」の経済対策をすると消費税増税を正当化します。しかし、そんな対策に巨費を投じるくらいなら、増税を中止すればいい話です。

 「アベノミクス」は「経済を再生」するどころか、貧困と格差を拡大し、国民を苦しめています。「異次元の金融緩和」が目標に掲げていた2%の物価上昇は実現せず、「ゼロ」「マイナス」の金利が続いたことによる預・貯金の目減りや、地方の中小金融機関の減益・赤字転落が相次いでいます。「機動的な財政政策」も、大企業本位の大型開発などが中心です。大企業のもうけを増やせば、賃金や雇用が増えるという“トリクルダウン(滴り落ち)”のシナリオは、いつまでたっても「絵に描いた餅」です。大企業や富裕層を優遇する減税は、「税の空洞化」を広げ、財政状況を深刻化させました。

国民へのツケ回しでなく

 財政悪化を自ら招き、そのツケを消費税の増税で国民に押し付けるというのは、全く道理がありません。

 消費税に頼らず、大もうけして内部留保をため込む大企業や富裕層に応分の負担を求めるとともに、大型開発や米軍への「思いやり」予算、米国製兵器の“爆買い”などをやめて、暮らしを支える予算を確保すべきです。それこそが、日本経済を再生させる道です。


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