2019年6月16日(日)
香港 条例改定を延期
「逃亡犯」 市民抗議に“期限設けず”
香港政府の林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は15日午後、記者会見し、犯罪容疑者の中国本土への移送を可能にする「逃亡犯条例」の改定について延期する方針を正式に発表しました。
政府は同条例改定案の6月中の成立を目指していましたが、改定案が成立すれば香港の「一国二制度」が無くなるとして多くの市民が反対。9日の抗議デモには100万人を超える市民が参加し、審議再開が予定されていた12日にも多くの市民が立法会(議会)を包囲し、審議再開は延期を余儀なくされました。同日、香港警察が催涙弾などを用いてデモを抑え込んだことで市民の反発はいっそう高まりました。
会見で林鄭長官は「香港政府は条例改定作業を延期し、広く説明し、多くの意見を聞くと決定した」と表明。「期限を設けず、意見を聞いた後、次の作業を続ける」と説明しました。
デモ隊と警官隊の衝突について林鄭長官は「(デモ隊は)平和的意見表明ではなく、警備要員を襲撃した。警備要員は正当に法を執行した」と正当化しました。
改定案の撤回を要求する民主派団体「民間人権陣線(民陣)」は「(林鄭長官の会見に)失望と怒りを感じる。香港人は『延期』などという言葉にだまされない」として、予定通り16日の大規模デモを実施する方針を示しました。