2019年6月2日(日)
天安門事件30年
広場は厳戒態勢、入場拒否
1989年6月4日、中国の北京で民主化を求める学生や市民の平和的なデモを中国共産党指導部が武力弾圧した天安門事件から4日で30年になります。世界のメディアの注目が集まる中、中国はこの節目の日をどう迎えようとしているのでしょうか。
ネット規制 事件知る機会なし
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5月下旬、記者が天安門広場を訪れようとすると、警察に入場目的をしつこく聞かれ、かばんの中までチェックされた上、「関係部門の許可が必要だ」と入場を拒否されました。普段は、X線検査と身分証の提示だけで入場できますが、6月4日を控え、中国当局が海外メディアの取材・報道に神経をとがらせていることが感じられました。
中国本土では、インターネット上で事件についての情報が規制され、事件について調べることはほぼ不可能です。10代、20代の若者は、教育現場でも事件について教えられず、事件を知る機会はほとんどありません。
香港で4月、事件に関する資料を展示する「六四記念館」が開館。中国本土から同記念館を訪れた29歳の女性は「学校や両親から聞いたのは少しだけ。あまり多くを話したがらない」と語りました。
中国当局は天安門事件の再評価を求める声に対しても弾圧や監視を強めています。香港メディアによると、当時の民主化運動への評価見直しや事件真相の調査・公開、謝罪を求める犠牲者遺族の会「天安門の母」の発起人、丁子霖(てい・しりん)さんは、6月上旬まで北京を離れて故郷の江蘇省無錫にとどまるよう当局から命じられました。
昨年7月に発表した論文の中で、「適当な時期に公開で(被害者の)名誉を回復すべきだ」と、事件の再評価を訴えていた清華大学の許章潤・教授は今年3月、停職処分を受けました。(北京、香港=釘丸晶)
日本共産党は厳しく糾弾
「体制批判には言論で対応を」
日本共産党は軍隊による弾圧で多数の死傷者を出した天安門事件について、その直後の声明で、言語道断の暴挙だと厳しく糾弾しました。その後も、中国共産党指導部との会談で、言論による体制批判については、禁止するのではなく、言論で対応するべきだとの立場を繰り返し伝え、中国当局が人権と自由の問題にたいして、国際社会の理解と信頼を高める対応をとるよう提起してきました。