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2019年5月26日(日)

北極圏 解ける永久凍土

高緯度地域でも地滑り現象

 カナダの北極圏では永久凍土の融解であちこちに地滑りが発生していることがわかったと、同国マギル大学の研究チームが環境科学専門誌『エンバイロメンタル・リサーチ・レターズ』(23日付)に発表しました。これまで、北極圏の緯度の低い地域で見られる現象でしたが、最近では緯度の高い地域にも広がっているといいます。

 マギル大学では、北緯80度前後に位置するアクセルハイバーグ島やエルズミア島で地形の変化を30年近くにわたって調査しています。その結果、最近、夏の気温の上昇によって、永久凍土が融解し、地面が馬てい形に滑り落ちる「退行性融解地滑り」と呼ばれる現象が広範囲で見られることを発見しました。

 特に2011年、12年、15年の異常に暖かい夏の間に、発生が顕著でした。アクセルハイバーグ島やエルズミア島の地表には北極圏の緯度の低い地域のような植生がなく、夏の気温の上昇に対してぜい弱です。また、退行性融解地滑りの発生には、気温の上昇とともに、傾斜などの地形の要素が大きくかかわっていることもわかりました。

 北極圏の高緯度地域では永久凍土の厚さが500メートル以上もあり、地形が比較的安定していると考えられていました。しかし、現在の状況は、それが事実ではないことを示していると、研究チームは指摘しています。


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