2019年5月13日(月)
NHK日曜討論 笠井政策委員長の発言
日本共産党の笠井亮政策委員長は12日のNHK「日曜討論」で、後半国会に向け、児童虐待防止や消費税増税、北朝鮮問題などの外交課題への対応について各党の政策責任者と討論しました。
児童虐待防止
体罰禁止する明確な規定を
冒頭、児童虐待の防止に向け、児童虐待防止法等改正案の政府案と、体罰禁止を明記し関係機関の連携強化などを盛り込んだ野党案の審議について議論になりました。
笠井氏は、児童虐待防止は国連の子どもの権利条約にのっとったものにすることがポイントであり、成長発達する子どもの権利を社会全体が守らなければならないとの立場で取り組むことが必要だと強調。「体罰はしつけでもなんでもない。野党案にあるように、正当な体罰があるといった余地を残さない体罰禁止の明確な規定が必要だ」と指摘しました。親への支援や児童相談所の体制強化に加え、市町村の体制と連携強化が大事であり専任職員を増やすための地方財政措置も必要だと主張しました。
自民党の岸田文雄政調会長は「誠意をもって協議し、合意に至るよう努力していく」と述べました。
後半国会では
参院選に向け争点を明確に
参院定数6増に伴う経費増を抑えるとして与党が提出した参院議員歳費を削減する法案への対応を含め、後半国会に臨む各党の姿勢が問われました。
笠井氏は、歳費削減法案について「参院選挙区の合区で立候補できない自民党の議員・候補者を救済する狙いで参院定数増の公職選挙法改定を強行した党利党略を、歳費削減で取り繕おうというものだ」と批判し、反対を表明。「改定公選法を大本から正すのが筋だ」と指摘しました。
野党各党からも「ごまかし」「欺瞞(ぎまん)」など同法案への批判が続出しました。
後半国会について笠井氏は、「参院選へ向けて国政の争点を大いに議論し、争点を明確にして国民の審判を仰ぐという国会にする必要がある」と強調。消費税増税をはじめ沖縄の米軍新基地建設、原発、日米自由貿易協定(FTA)交渉、日ロ・日朝といった一連の外交課題などで「問題点をただして打開の展望を示す論戦が大いに必要だ」と強調し、野党が求めている衆参両院の予算委員会での集中審議を必ず開催すべきだと主張しました。
消費税増税
経済自滅の道 家計応援こそ
日本経済が後退局面にある中、10月からの消費税10%への増税について笠井氏は、2014年の消費税8%への増税により、実質家計消費が年額25万円も落ち込み、実質賃金が増税前から年額10万円以上も落ち込んでいると指摘。「政府自身も景気悪化の可能性を否定できなくなっている状況で、さらに消費税を増税するという愚かな道に進んでいいのかが問われている」と強調しました。
さらに笠井氏は、トランプ米政権が中国からの輸入品に対する追加関税を25%に引き上げるなど米中の貿易戦争が深刻化し、外需も不透明になっていると述べ、「こんなときに5兆円もの大増税を実施して家計の購買力を奪い、内需に打撃を与えることは日本経済自滅の道だ」と批判しました。
岸田氏は、国内経済が「堅調だ」として、「消費税を引き上げられるよう環境整備に努力する」と語りました。
笠井氏は、「景気悪化のなかで消費税を増税した例は過去に一度もない」と指摘したうえで、自民党の萩生田光一幹事長代行が景況感次第で増税延期もあり得ると発言したことを示し、「今からでも10%増税は中止すべきだ」と求めました。
笠井氏は、「いま必要なのは家計を応援して格差と貧困をただし、国民が暮らしに希望が持てる政治に切り替えることだ」と述べ、最低賃金を直ちに全国一律で時給1000円にし、1500円を目指し、中小企業支援を強化すること、高すぎる国保料(税)の値上げを許さず抜本的に引き下げること、年金の底上げなどによる「減らない年金」を実現し、「低年金の底上げ」をはかることなどの政策の実行が必要だと主張。財源は、富裕層・大企業の優遇税制にメスを入れて応分の税負担を求めるなど「消費税に頼らない別の道」を提案しました。
岸田氏の経済状況の分析に対し、立憲民主党の逢坂誠二政調会長も「認識が非常に甘い」と指摘し、国民民主党の泉健太政調会長が「消費税は、いま上げられる環境にない」と述べるなど、野党がそろって10月実施をやめるよう求めました。
米朝関係
包括的合意と段階的履行を
外交問題での議論で笠井氏は、北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射したことについて、「国連安保理決議に反する軍事的挑発は厳に慎むべきだ。対話と交渉の継続という問題解決に逆行するものだ」と指摘。米朝両国政府に対し、昨年6月のシンガポールでの米朝首脳会談で交わした共同声明を具体化し、履行するための真剣な協議を継続するよう強く求めました。
その上で笠井氏は、「現在の膠着(こうちゃく)状態を打開するためには、米朝双方が朝鮮半島の非核化と平和体制の構築という目標を明確にした包括的な合意を交わして、段階的に履行するということが最も合理的で現実的な道だ」と提起しました。
北朝鮮による日本人拉致問題で、安倍晋三首相が前提条件を付けずに日朝首脳会談を模索すると表明したことについて笠井氏は、「日本政府は、憲法9条の精神で、2002年の日朝平壌宣言を基礎に据え、平和プロセスを前進するように積極的に関与することこそ必要だ」と述べました。
9条で平和外交
地域と世界に貢献する道を
日本の外交については、「6年間の安倍外交の破たんが明らかになっている。ロシアとの領土問題でも何の展望も見えない」と指摘。米国製兵器の爆買いや日米FTA交渉など、トランプ米大統領言いなり外交の根本的な転換を訴え、「憲法9条を生かした平和外交によって地域と世界の平和に貢献する日本をつくることが必要だ」と語りました。