2019年5月8日(水)
艦長らの操艦批判
おおすみ裁判 原告側が再反論
海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」が2014年1月、広島県沖の瀬戸内海で釣り船「とびうお」と衝突し沈没させ、船長ら3人が死傷した事件の真相究明と国の責任を求める遺族による損害賠償請求訴訟の第15回口頭弁論が7日、広島地裁(谷村武則裁判長)で開かれました。
弁論は、被告側(国・自衛隊)の準備書面で「とびうおが右転しなければ衝突は回避できた。おおすみの航法になんらの法的義務違反はない」との反論に対し、原告側も準備書面で再反論しました。
原告側は再反論の準備書面で、おおすみ艦長らの操艦行為に、海上衝突予防法上の航法違反があり、その職務上尽くすべき注意義務を怠り、漫然と操艦したと批判しました。
衝突原因は、おおすみの釣り船追い越し・変針が、衝突の危険のなかった釣り船との間に衝突の危険をつくり、釣り船の進路を避けるべき同艦が「避航義務を怠り衝突を惹起(じゃっき)させた」と指摘。
釣り船転覆も、両船が接近した中での、海自艦の右転による艦尾の左舷方向への振り出し(キック)が釣り船を直撃したためで、「艦長らのキックの知識不足」を挙げました。そのうえで、“とびうおの右転”を、証拠のない主張と批判しました。
被告側は弁論で、「おおすみは、とびうおを追い越すつもりはなかった。必要な範囲で反論する」と主張し、次回弁論までに書面で反論するとしました。
次回期日は7月2日午後2時から。