2019年5月8日(水)
ガザ武力衝突の停戦合意
イスラエルとパレスチナ武装勢力
双方の合計死傷者300人以上
【カイロ=松本眞志】イスラエルとパレスチナ武装勢力のハマスなどは6日、エジプトやカタール、国連の仲介によって、3日に始まったガザ地区での武力衝突の停戦に合意しました。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラが報じました。
現地報道「軍事作戦役立たず」
ガザ地区の保健行政担当機関は、5日までのイスラエル軍の空爆で27人が犠牲になり177人が負傷したと発表。一方、イスラエル側も、同国の民間人4人が死亡し、130人が負傷したと現地メディアが報じました。
イスラエル側は公式に停戦を伝えていませんが、ガザ地区周辺のイスラエル軍は戦闘態勢を解除し、避難していた住民に帰宅を指示。現地の公共交通機関もすべての運行を再開しました。
ロイター通信によると、同国のネタニヤフ首相は6日、「われわれは軍事攻撃を続ける準備をしている」と表明。「目標はイスラエル南部の住民に平静と安全を保障することだったし、今後もそうだ」と語っており、予断を許さない状況が続いています。
イスラエル紙ハーレツは、戦闘開始から3日で停戦にいたった背景の一つとして、イスラエル軍の軍事作戦の効果について国民の疑念が強まっていることを指摘しています。
同紙は「ガザ地区からのロケット、ミサイル、気球爆弾の攻撃範囲は、(ガザ北方の)アシュドッドやアシュケロン、最大都市テルアビブにまで及んでいる」とし、これまでのイスラエル軍による攻撃の結果、パレスチナ武装勢力側の戦闘能力は弱まるどころか、むしろ向上していると強調。「国民の一部は過去のガザ地区に対する軍事作戦も犠牲と破壊をもたらしただけであり、イスラエルにとって何の役にも立っていないと思っている」と報じました。