2019年4月28日(日)
トランプ米大統領 武器貿易条約も離脱
人権団体「平和の努力に打撃」
【ワシントン=遠藤誠二】米トランプ大統領は26日、通常兵器の取引を規制する国際条約、武器貿易条約(ATT)の署名国から撤退すると発表しました。トランプ政権は地球温暖化対策の枠組みを定めた「パリ協定」やイラン核合意など国際合意から離脱してきましたが、新たな国際条約・協定からの一方的な離脱となります。
トランプ大統領は26日、強力なロビー組織である全米ライフル協会(NRA)の年次総会に出席し、「外国の官僚が、武器を保有するあなたたちの権利を踏みつけることを決して許さない」と述べ、同条約から離脱すると表明しました。ATTが、小型兵器(小銃)の取引も規制対象としていたことなどからNRAは一貫して同条約に反対してきました。
ATTは2013年4月に国連で採択され、現在まで130カ国が署名、うち101が締約国になっています。通常兵器の国際取引を規制する共通基準を定めており、取引が国際人道法に違反することが懸念される場合、輸出が禁止されます。対象は、戦車、攻撃ヘリ、戦闘機、ミサイル、軍用艦艇、小型武器(小銃)など。
世界最大の武器輸出国である米国ですが、オバマ政権はATTに賛成し署名国となりました。しかし、共和党が議会上院で多数を占めるなか承認は実現せず、批准はされていません。今回、トランプ政権が署名まで撤回した形です。
アムネスティ・インターナショナルUSAは26日、声明を発表し「国際的な平和と安定の促進にむけた努力にとって見当違いの打撃だ」と批判しました。