2019年4月21日(日)
除染作業を開始
枯れ葉剤貯蔵の空軍基地
ベトナム・ビエンホア
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【ビエンホア(ベトナム南部)=井上歩】ベトナム戦争中に米軍が枯れ葉剤を貯蔵していたビエンホア空軍基地で20日、ダイオキシンの除染作業が始まりました。
同空軍基地は、枯れ葉剤に含まれていたダイオキシンによる土壌汚染が最も深刻なエリアで、ベトナム国防省によると、汚染した土壌の量は昨年11月に除染作業が完了したダナン空港の3~4倍規模の約51万立方メートルに上ります。
汚染度が高い地点は基準値の700倍に達しているといいます。汚染がある面積も合計52ヘクタールと広大で、除染作業には約10年かかる見通し。基地の外側にも合計約4・6ヘクタールの汚染地域があり、住宅地に接していることから地方政府が早期の除染を求めています。
20日、作業開始の式典が同基地内で開かれ、ベトナムのチュオン・ホア・ビン副首相は、「人道的に急を要する仕事だ」と述べるとともに、戦争被害克服で両国が緊密に協力することが重要だと強調しました。
式典に出席した米国のレーヒー上院議員は「年を追うごとに、両国は戦争の負の遺産を乗り越えるために共同するようになり、パートナーとなった」とあいさつしました。
グエン・チー・ビン国防次官はビエンホアのダイオキシン除染事業は世界最大規模だと指摘。「人と環境への影響がなくなるまで除染をやりとげるのは容易ではない。しかし、ダナンでの経験と両国の努力によって成功すると信じている」と語りました。
米政府はビエンホアの除染に対し、2023年までに1億8300万ドル(約205億円)の拠出を約束。高熱処理などで進める除染作業の費用は3億ドル以上となると見積もられています。
米越両政府は同日、ビエンホア市で、枯れ葉剤散布地域である中南部7省での障害者支援に関する覚書にも署名しました。