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2019年4月12日(金)

海外投資家の日本株売り

日銀 同額買い支え

通貨信用揺るがす

図

株価つり上げ政策下

 2018年度に海外投資家が日本株を売った分、日銀が株式市場にほぼ同額を投資し、株価を支えていた異常事態がわかりました。

 東京証券取引所によると、海外投資家が18年度に売った株式は買った株を5兆6314億円上回る「売り越し」(売った株の方が多いこと)でした。第2次安倍晋三政権下で日銀が大規模な金融緩和を行い、株価つり上げ政策に乗り出して以来最大の売り越し。米中貿易摩擦の激化、英国の欧州連合(EU)離脱問題など世界経済への不安を背景に海外投資家が日本の株式市場から資金を引き揚げています。

 これに対し、日銀は株価指数連動型上場投資信託(ETF)を18年度に5兆6531億円買いました。海外勢の売り越し分とほぼ同額です。ETFはいくつもの大企業の株式銘柄を組み入れた金融商品です。安倍政権下で日銀は、ETFを買うことによって間接的に大企業の株を買い、株価をつり上げてきました。日銀が巨額の下支えをしたことで、海外投資家は株価が暴落する心配なく、安心して保有株を売ることができました。

 現在、日銀は年6兆円のペースでETFを買っています。3月末時点での保有額(額面)は約25兆円。時価は推計で約28兆円にのぼり、東証1部の時価総額の5%近くを占めます。

 日銀の雨宮正佳副総裁は3月、参院財政金融委員会で、日経平均株価が1万8000円程度を下回ると日銀が保有するETFの時価が簿価を割る可能性があるとの試算を示しました。

 通貨の安定を使命とする日銀が安倍政権の株価つり上げ政策の道具となっていることで、日銀は資産を損ない、通貨の信用を揺るがす危険を抱え込んでいます。


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